神と呼ばれた男__
鈴木たろうが
Mリーグの歴史に
新たな1ページを刻む
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年2月26日
第2試合

東家:東城りお(セガサミーフェニックス)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
Mリーグ2023レギュラーシーズン178試合目。
この日、Mリーグに新たな記録が誕生した。

鈴木たろうがMリーグ歴代最高スコアを更新。
そのスコアは112,800点。記憶に新しいTEAM雷電黒沢の112,700点をわずか100点上回っている。
黒沢が記録を樹立した試合を見ていたファンからすれば、わずか1年で抜かれるとは到底想像できなかっただろう。
波乱の展開となった本試合。
南2局、たろうが親番を迎えるまでは比較的物静かな試合展開だった。
東城、たろう、仲林の3名がトップ争いをしており、多井がやや出遅れている状況。親番のたろうに早い手が入る。

カンとカン
(ドラ)のイーシャンテンに
を引いたところ。
当然手広いのは打だが、たろうの選択は…

打だった。
カン引きの役無しドラカンチャン待ちを拒否して、
を使い切った7,700点以上のリーチを目指す。
一見が機能していないように見えるが、
を引くと
という
・
受けの強い形を作ることができる。更に
を引けば567の三色まで狙うことができる。
仮に中盤まで形が変化しなかった場合、を残していると
と
という形に分けることができ、タンヤオでの仕掛けも可能になる。
カン・カン
から仕掛けた5,800点も状況に応じて狙っていける。
この打が、結果として大連荘の入口に繋がっていた。
次巡、たろうは僥倖のカンを引き入れ、カン
待ちでリーチをかける。

同巡、イーシャンテンになった仲林がを勝負。
このにより、
が中筋になる。

そして、が手牌に1枚孤立していた多井が
を切り放銃。


たろうからすればアガればもちろん嬉しいが、待ちも良くないため連荘できれば御の字の手。
それがわずか2巡であっさりアガることができた。7,700点の加点で更にリードを広げる。
多井の放銃は
が切られ中筋になったことが理由だが、
が宣言牌ではなく1巡前に切られていたことも大きく影響しているだろう。
が関係する愚形待ち(今回のカン
など)に当たる場合、わざわざ先に
を切って受けを狭めていたことになる。
仮にたろうがシンプルに打→
リーチとしていた場合、河はこうなる。





この河ではカン待ちも読み筋に入るので、多井も
を切らず現物の
、もしくは2枚ある南が選ばれていたのではないだろうか。
打の意図は先述の打点とその後の鳴きがメインと思われるが、予期せぬ偶然も重なり、たろうにとって良い方向に作用する。
南2局1本場も、たろうのチャンスは続く。

7巡目にこの形。から入ればタンピンドラ赤の6,000オールまで狙える手になり、東をポンすればスピード感ある5,800点にシフトチェンジもできる。
直後、仲林からリーチが入る。

リーチ平和の待ち。頼みの
が3枚切れているので待ちはやや心もとないが、トップ目たろうとの点差10,800点を考えると、ツモって裏1枚乗せての1,300-2,600点も逃せない。
何よりリーチと言ってしまえば、トップ目のたろうは放銃が着順ダウンに直結してしまうため、よっぽどの手で無い限り押し返しにくい。
このリーチを受け、イーシャンテンになったたろうだが東を対子落とししてやや狭く受ける。

2巡後、今度は東城からリーチが入る。

タンヤオ・一盃口のカン待ち。
待ちは悪いが仲林の現物のが多井・たろうから打たれなかったことで山に残っていると読み、強気にリーチをかける。この
が山に1枚残っていた。