崖っぷちのBEAST
菅原千瑛が重ねた奇跡のカケラ
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年11月28日
菅原が自らを鼓舞していたのを私は見逃さなかった。
画像はどうしても暗いし、一瞬の出来事だったので非常にわかりにくいが、左に映っている菅原が卓に向かいながら、偉大なる先輩・瀬戸熊のように自らの頬を叩いていたのだ。
開幕して2ヶ月が経ち、新チームBEAST japanextはフェニックスと共に奈落の底に急降下している。
Mの舞台はチャレンジャーにかくも厳しい。
まだ残り60試合もあるとはいえ、中盤以降下位のチームは抑えつけられる傾向にあることはこれまでの歴史が証明している。
何やら騒がしくなりそうな予感を覚えつつ、激動の半荘は始まった。
(松嶋さんお疲れ様です)
第1回戦
東家:菅原千瑛
BEAST Japanext
8位 ▲523.7pt
麻雀を一通り覚えてからぶつかる壁が存在する。
それは、トイツ手とメンツ手どっちにするんだい?問題である。
例えば次の瑠美の親番での手牌。
4トイツある。
チートイツとメンツ手の両方を残すなら、というカンチャンを払っていくよりないし、ほとんどの麻雀プロがそうするのではないか。
多井「え?!!」
土田「なんでなんだろう?」
たしかにチートイツを含めた受け入れ枚数は打が一番広い。
しかし、もしこの世にチートイツという役が存在しないと仮定したら、受け入れ枚数は打()がわずかに逆転する。↓
(麻雀何切るシュミレータ様より)
もちろん現実問題にはチートイツは存在し、その先に三暗刻や四暗刻もある。
だから我々はしか切れない体になっている。
(流行りの麻雀AIさんはソウズのカンチャンを切れって言うんだろうね)
飄々とした顔の瑠美。
(言う)
打は瞬間の受け入れ枚数だけに留まらず、の変化を含め、メンツ手のテンパイ率、ツモアガリ率を最大に構える選択。
この選択を皮切りに、この世界にはチートイツはないのかと錯覚してしまうような選択が続出することになる。
顕著だったのは、対面に座る菅原の6巡目。
これも基本は? と問われたらの部分を払っていくと私は答える。
チートイツのイーシャンテンだからだ。