トップ取り先生降臨? 渋川難波、勝利を手繰り寄せた強気の攻め【Mリーグ2022-23観戦記11/28】担当記者:東川亮

渋川は真っすぐ打ち抜いた。まだ10巡以上ある状況、まわったとしても安全牌が持つかは微妙な上、手を崩せばアガリは絶望的になってしまう。通っていないスジは多い以上、ここは押す。

そんな渋川にツモが応えるかのようにテンパイ、そして通っていない牌がバンバンよってくる。アガれなければ切る、それだけだ。

どちらのアガリも生まれず2人テンパイ。

お互いのテンパイ形を見つめる2人。「どっから押してきとんねんコイツ・・・?」と思ったとか思わないとか。

南4局2本場、Mリーグファンにとって衝撃のシーン。黒沢の、【發】1鳴きである。しかも、離れたラス目で。この状況で、よりにもよって黒沢が、素点回復の軽いアガリをするはずがない。とは言えこの時点では打点の気配はほとんど感じられなかったのだが・・・

こうなるのが黒沢である。【發】ホンイツ、自風【西】でアガれれば満貫となり、ツモで3位、ロンなら園田や伊達から直撃できれば2位まで浮上できる。【西】【發】ポンの前に1枚スルーしており、他者は絶対に使えない牌だ。

そこへ、親の渋川が追いつく。出ていく【5ピン】はピンズ一色手模様の黒沢には相当に怖い牌だが、トップを取るなら、そんなことは関係ない。

「麻雀は・・・リーチ!」

「そして・・・トップ!」
リーチツモピンフ赤赤裏裏、6000は6200オール。この試合、渋川のアガリはこの1回だけだった。それで十分だった。

渋川は黒沢への借りを一つ返し、これで個人連勝、勝利のポーズも3回目で、ようやく少しずつ馴染んできた感がある。序盤は苦しんだ渋川だったが、ここへ来て本来の力を発揮し始めた、というところか。その陰にあの先生がいたのかどうかは、本人のみが知るところである。

 

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