『打ち込み』と『伏せ』 堀慎吾の妙手が冴え渡る日【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/1 第1試合】担当記者 後藤哲冶

日向の親リーチが入った直後、カン【2ピン】を引いて堀が追い付いた。
【1マン】【4マン】待ち、高目の【1マン】ならチャンタと三色。

これをなんと日向から高目一発で捉えた!
リーチ一【發】チャンタ三色で12000。
チーせずに高めたこの勝負手一撃で、堀がトップ目に立ってオーラスを迎えることに。

 

南4局

堀の配牌がこれだ。
役牌の【南】【發】が対子。
チャンタまでつけば5800程度は見える。
トップ目に立ったものの、2着目竹内とは1000点しか差がない。
どんなに安い手であっても、竹内がツモと言った瞬間にトップが陥落する以上、この局のアガリは見ていきたい。

一方で追いかける側の竹内が一打目にドラの【中】切り。
打点はいらない。1000点でもアガれば少なくとも同点トップになる以上、このドラは全員に重ねられた時が痛すぎる。
迷いのないドラ切りだ。

2巡目、1枚切れの【北】をもってきて堀の手が止まる。
堀の思考は、今竹内が切ったドラの【中】を合わせるかどうか。
堀にとって最悪なのは、日向にドラの【中】を重ねられての、2000、4000ツモられ。
なんと日向にそれをされると、親被りで堀は3着までその着順を落とすことになる。
であれば、いっそ、この巡目に合わせて切って、その憂いを断つか。

が、堀はこの【北】をツモ切った。
とはいえ、自分で【中】を重ねた時の功績が大きすぎる。
現状は役牌2つ鳴いての2900で、それだとトップを決めるアガリには程遠いものの、【中】さえ重ねれば18000クラスが現実的だ。
18000は、一撃でトップを決定づけるアガりになる。

そして次巡。

重ねた……! ドラの【中】
これで役役チャンタドラ3などで18000が見えた。

7巡目に、日向から出た【1ピン】をチー。
ターツは十分そろっている。これでイーシャンテン。

更に直後黒沢からドラの【中】が出た!
これを鳴いてアガればほぼほぼトップの18000テンパイだ。

4着目で攻めたい黒沢だが、この堀の仕掛けを見て手を崩す。
苦渋の決断だとは思うが、この判断も見事だった。
結果的に黒沢はこの第1試合を4着で終えることとなってはしまったが、この【南】打たずで18000を打たなかったのは素点的に大きいだろう。

竹内も18000を打ったら急に4着目になってしまう以上、当然リスクは取れない。
この打【3ソウ】で手牌を崩す。

巡目が進むごとに、堀の思考が「流局時の選択」に及んでいく。
この手がアガれず、流局時もし、仮に竹内がノーテンだとしたら、堀は手牌を『伏せる』つまり、ノーテン宣言すればトップが確定する。
だが、そうした場合、もし仮に竹内がテンパイだった場合はみすみすトップを献上することになりかねない。
堀は親番なので、最初に手牌を開くか伏せるか判断しなければならない立場だ。

堀が、対面の竹内の進行、一挙手一投足に目を走らせる。
ここまで、竹内は安全牌を連打している。
堀に当たり得る牌は、ついぞ1枚も出てこなかった。

最後の手番。
ツモるのが一番良かったが、それはかなわなかった。
堀の最後に選んだ選択は。

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