チームの勢いを背に、
茅森早香は飛翔する
文・生沼紗織【代打ライター】2025年12月1日
▲519.9pt。これはフェニックスが11月10日第一ゲーム終了時点で持っていたポイントだ。
マイナスなのだから持っていたポイントというと語弊があるのかもしれないが、とにかく圧倒的最下位。9位との差ですら266.2ptというドン底から、今や景色は一変している。
これが現在のチームスコア。フェニックスはその名の通り、不死鳥のごとくポイントを積み重ね、一ヶ月足らずで377,3ptの加点に成功し、トータル7位まで大復活を遂げた。
ただ、最下位のフェニックスがこれだけ加点するということは、全体のポイント差が縮まるということでもある。風林火山と格闘倶楽部を除いた8チームのポイント差は、11月10日時点で700.8ptあったが、今は350ptと半減し、大混戦となっている。
12/1はトータル5位・7位・8位・9位の直接対決。一試合一試合で、大きく順位が動きそうだ。
第1試合
東家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:本田朋広(TEAM雷電)
1戦目トップだったKADOKAWAサクラナイツは堀慎吾志願の連闘。
トータル10位から順位を早速1つ上げ、このまま勢いに乗りたい。
1戦目ラスだったTEAM雷電は、今日の中では最上位。カットラインの争いにぐっと近づくラスだっただけに、プレッシャーは大きいだろう。
ずるずるとポイントを減らしている渋谷アベマズは、エース多井隆晴を投入。
絶好調のフェニックスは、前回の登板で初トップを決めた茅森早香選手兼監督の登板で、個人連勝を狙う。
ここで勝って、下位の争いから抜け出したい。
その想いが報われるのは、いったいどのチームか。
ファンも固唾を呑んで見守る中、2戦目が開局した。
序盤は、そんな各チームのボルテージを可視化するように、供託がたまっていく、流局の多い展開だった。
東1局1本場、東2局2本場は本田のリャンメンリーチがいずれも不発。東2局3本場の多井のリーチも流局し、親が流れた。
東3局4本場。供託は3本、本場も4本。アガればそれだけで4200点が加点されるボーナスステージだ。
とはいえ、慎重な打牌が多い印象の多井が、第一打からドラの
をリリース。
役牌である
・
がともに対子だが、七対子も見える手牌。
供託に照準を合わせての打ち方は、チームメイトの白鳥の影響もあるのだろうか。
ほどなく
が出てこれをポン、すぐ出た
も仕掛けて
と
のシャンポンテンパイとなる。
解説の石橋伸洋プロは、多井プロと長く勉強会を開催している旧知の仲だ。
その石橋プロが「これでテンパっていない多井さんは見たことがない!」と太鼓判を押した。
しかし、テンパイとわかっていても、待ちを絞るのはかなり難しい仕掛けだ。仕掛けの後に打ち出された
・
はいずれも関連牌ではなく、現時点で通っている筋は3種のみ。いくらテンパイ濃厚とはいえこれに対応するのは至難に見える。
次巡、本田が当たり牌の
をツモってきた。
この局、本田だってもちろんアガリたい。供託3本は大チャンスだ。
だが本田はこの
を止め、打
でオリを選択した。
これは仕掛けた相手が多井隆晴だからこその対応と言える。
あの多井が、役が
しかない手牌で第一打からドラを手放すだろうか。手放すならば、相当形が決まっていて、かつ
が深かった場合の保険、すなわち今回のようなダブルバックの仕掛けは大本線、とするとこの
は切れない、という推理だろう。
しかし、点数も平たい状況で、チームも1戦目ラス。前のめりになる要素はたくさんある。しかし、本田はこの形から、タンヤオを目指すでもなく
に手をかけて多井に完全対応する選択をした。
この本田の選択は、解説席からも大絶賛された。
ほどなく多井がアガってトップ目に立ち、東4局、本田の親番となった。
他家の手牌がよく、一歩出遅れていた本田だったが、7巡目、この手を親番で勇気の七対子に決め打つ打
。
これが大正解し、次巡テンパイ。2枚切れになった
ではなく
単騎でリーチすると、なんと
は中張牌にも関わらず、山に3枚全て残っていた。
麻雀の神様が公平なら、先程の
を抑えて持ってきた親番で、この選択がハマってリーチ。さすがにアガらせてくれても良さそうに思える。
しかし、結果は非常に残酷だった。
2巡後に多井の![]()
![]()
待ちの追っかけリーチ。
同巡、茅森もドラ
をアンコにしての三暗刻ドラ3のテンパイ。
すでにリーチは2軒入っているが、両者に通っていない
を打ってテンパイをとる。
これには二人とも苦い顔。














