「しゃおら」の夜──高宮まり、ボディー麻雀を継ぐ──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/19 第2試合（麻雀チャンネル）】担当記者 小林正和

極め付けは、小林がバックながらドラ・ドラ・赤のマンガン・イーシャンテン！！

まさに言霊のようなドンピシャの読みだった。

恐ろしいのは、これが試合直後のインタビューだということ。つまり高宮は、答え合わせをしていない。

結果的にアガリには結び付かなかったが、このチーテンは「体で打つ」というあの「ボディー麻雀」なのだろうか。

もちろん、それは理詰めされた読みがあった上でのことである。それでも、咄嗟（とっさ）にというか、反射的に選択する姿。それは受け継がれてきたあのイズムなのかもしれない。

そうじゃなければ東2局の

こちらもマンガンの見える手牌が、仕掛けて2,000点のアガリ。親・三浦の加点チャンスをしっかりと防ぐと、

東3局の

ピンフのみの手を、勝負所と見るや否やリーチへ。そして、しっかりと裏ドラ２枚を乗せたり… できないのではないか。

なんだか、そう思わせてくれる。
もしかしたら、ただの気のせいかもしれない。

でも、その感覚は三浦とは違う。高宮の体の中にある確かなものである。

そして、何よりも研ぎ澄まされたそれが発揮されるのは、強気に振り切った時だ！

南4局
トップ目の三浦とは100点差。つまり、アガリトップである。

しかし、全員30,000点以下という「プチ・全員集合」状態。一歩間違えれば、奈落のラス行きもあるシチュエーションだ。

を引き入れ、テンパイまであと一歩となった高宮。こんな中張牌だらけの手牌だが、

もちろん、体内からの司令は切り目一杯！ そして、

不思議と愚形が解消されるが上家から打たれる。

もちろん「チー」の一手なのだが、少しだけ空白の時間が流れていた。そして、この時の高宮の仕草が印象的であった。

発声する前に、わずかに「コクっ」と頷いたように見えたのである。

高宮
「テンパイまで来れたので、後は全部押し切ると！」

ほんの僅かな間。
それは、その覚悟をしっかりと確かめるための時間であった。

すると、その高宮の体内から溢れ出すアドレナリンが今にも吹き出しそうな瞬間が。

本当に麻雀っていうゲームはよく出来ている。

見ている人も、もしかしたら本人もこの状況を楽しむかのような、そんな出来すぎた舞台。

多井からのリーチ。

つまり、それは高宮の「全部押し切る」という覚悟の幕開けだ！

だが、今日は少しだけ。何か特別なものに守られたかのように働く。

なんと、押し切る姿を見せることなくツモ。

最後は、卓上の籠った熱量に反するかのように、静かにトップを決めたのであった。

試合後、ある合言葉がタイムラインに流れる。

「しゃおら」

そして、その言葉を目にして、ふと最後のシーンを思い出した。

最後のツモ牌を倒したあと、高宮はふと後ろを見ていたのである。

ほんの一瞬だけ。

それはまるで、誰かに守られていると悟るような横顔であった。その存在は、もしかしたら──。

KONAMI麻雀格闘倶楽部にとって、今年は特別な年だ。

亡き恩師から引き継がれたその「ボディー麻雀」を、確かに体現し、勝利へと天に捧げ、

そして、悲願の優勝シャーレをサポーター、そして見守る総帥のために。