牌想い──黒沢咲の華ふぶき──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 3/13 第1試合】担当記者 小林正和

巻き戻せば、放銃の瞬間でさえ

黒沢はほんの少し口角が上がっているように見える。

そしてコラムには、こんな一節もあった。

「負けが続くと、悔しさのあまり応援するのが辛くなってしまうこともあると思います。でもそんな中でも、99%のつらい気持ちを押し殺して、1%の前向きな気持ちと笑顔で『どんな結果でもずっと応援してるから』と声をかけてくださる方が、雷電ファンにはたくさんいます。」

「励ますというよりも、寄り添って包み込んでくれる感じがするんです。」

自分らしくない放銃があった。
それでも背中を押して送り出してくれたチームメイトがいる。
99%のつらさを押し殺し、1%の前向きさで見守ってくれるユニバースのみんながいる。

だからこそ、南4局のアガリは心に刺さった。

黒沢は、普段あまり見せない【發】バックで仕掛ける。

親の滝沢からは、メンピン高めタンヤオ【6マン】【9マン】リーチも入った。

それでも黒沢は眉ひとつ動かさない。

「滝沢さんに放銃しても、ドリブンズの着が落ちるので、全部いこうと決めていました。」

もともとは有名私立大学の理工学部卒。
いまで言うリケジョの彼女は、もちろん数字にも強い。
そのうえで、最後は理屈だけではなく「いく」と決めた。

山に残る【發】は、たった一枚。
その一枚に想いを寄せたのである。

【發】・赤・ドラドラ
2,000・4,000(+1,000)

完璧な一日ではなかった。
大きな逆転劇でもない。
けれど、らしくなかった東1局から始まったこの試合を、最後の最後で少しだけ笑みを咲かせたのだ。

それはきっと、チームメイトへ。
そしてユニバースへ。
一日早い「逆ホワイトデー」のような、ささやかな華のお返しだったのだろう。

そんな姿に、あの言葉を重ねたくなる。

牌想い
笑み咲きほこれ
華ふぶき

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