茅森早香の強烈な押し
その理由に迫った
文・中野巧【月曜臨時ライター】2026年4月20日
最終ラウンドのノーガードでの打ち合い、試合終了間際の劇的なゴール。どんな戦いでもしびれるような瞬間は存在する。麻雀なら誰も手を緩めず、ギリギリの牌を切り合う瞬間だろう。まさにこの日の第2試合の戦いである。
第2試合
東家:二階堂亜樹(EX風林火山)
南家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
西家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:東城りお(BEAST X)
全16局中アガリ回数が14回、リーチ回数は4人合わせて17回と、常に誰かのリーチが入り、そのほとんどでアガリが生まれている。放銃回数が少ない選手が結果に比例しており、ギリギリの間合いで攻められるかどうか、が焦点となった。
1位の茅森は、アガリは全体で最も少ないが、”打点女王”の異名を持つ彼女にとってはトップを獲るには2回で十分だった。攻めの打牌も多くみられたが、ギリギリの間合いで相手の当たり牌は切らず、持ってこない運もあった。
2位の太は、東4局をトップで折り返すも、自身がテンパイ、リーチ後のめくり合いで競り負け、何とか連対をキープした。今日は2度も相手のアガリ牌が山に1枚しかなかった場面で競り負けたのが痛かった。
3位の亜樹は南3局をトップで迎えたのだが、親の茅森のツモアガリ、オーラス東城への5800放銃と一気に削られて、ラスに転落。ただ最終局に1000は1300をテンパイし、東城から直撃。単独3着に浮上した。
4位の東城は東場に相手のアガリ牌を吸収したうえで、1:3のめくり合いに勝つなど、「これは東城の日か」と思わせるシーンもあった。南1局時点では一度トップになるも、そこからテンパイ打牌が捕まってしまう。オーラスは盛り返すも、一歩及ばず2万点台の4着で終局した。
この試合結果でセガサミーが4位のKONAMIに迫るが、まだ100ポイント以上の差が残っている。逆連対の風林火山、BEASTは大きなマイナスではないのが救いで、まだまだ上位チームの座は揺るがない。
本日はトップを獲った茅森の1局、ピックアップしお届けしたい。
■親のリーチに対してプッシュした茅森の思考
“親リーチ”は当然、平均打点が高く、押し返すことは相当に良い手か、よほどの自信がないと難しい。その1回の放銃が結果を左右することもある。開始すぐの東1局、目立ったのは茅森の押しの強さだった。
10巡目、親の亜樹からリーチが入る。宣言牌はドラだ。
リーチを受けて、一発目。茅森は手が赤ドラあるイーシャンテンで無筋の
を切り、続く
もプッシュする。こちらの打牌を解説したい。
まず
について。この牌は完全に無筋ではあるが、亜樹の手出しはマンズが7m以降、ツモ切りであり、3巡目の時点で![]()
もしくは![]()
![]()
のターツが最後まで埋まらなかった場合のみ当たりうる。また、
がツモ切られていることからマンズの![]()
を持っていた場合、
の縦引きを拒否していることも
を通しやすい理由だろう。
次に
だが、これは十分当たりうる牌だ。リーチ宣言牌がドラの
で、ドラの縦引きを最後まで残していた![]()
![]()
から切ったケースが該当する。しかし、1打目に
を切っていることから役牌と
のシャンポンのケースは若干なりにくいため、これも当たるならリャンメン待ち。自身の手も赤ドラで打点は見合うと考え、この牌をスっと切っていく。
しかし、次巡
を引いて打
。先ほどの前のめりな打牌から一転、形を狭め、勝負から身を引いたような選択に。
と
を押すのは不利だと考えた理由は、ドラが
であることから![]()
![]()
とピンズを持っていたところからのカン
はアガリ率だけ考えるとドラ表示の
より
の方が山に1枚多いこと、また、![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
の形からの![]()
が十分あり得るからだろう。
は亜樹から関連牌が切られておらず、太と東城が
を1枚ずつ切っているのみ。つまりは、太と東城の手には
がないケースが多く、亜樹の手に
がある可能性が高いのだ。
は東城に暗刻であったが、それは読めない。
結果は亜樹が
を1枚使った![]()
待ちで、茅森の読みはほとんどあっていた。この次局も亜樹のリーチにプッシュするのだが、そちらはぜひアーカイブでご覧いただき、余裕があれば「なぜその牌を押したか」を考えてみると、意図がわかり、よりMリーグを楽しめるはずだ。
残り8試合でファイナルに進出する4チームが決まる。試合数を重ねるごとにどんどん緊張感が増す。そんな状況でも親リーチに対して1シャンテンから押せるハートの強さは、Mリーグ初年度から今までチームを支えている茅森ならではだろう。

日本プロ麻雀連盟所属、プロ歴2年目。
英語、イタリア語が話せる。
麻雀プロの活動を中心にするため大企業を退職し、京都に家族を置いて上京。
現在は日本プロ麻雀連盟本部道場でスタッフとして在籍中。
いつかは書かれる側を夢みておもろい麻雀と服装を実践中。
X:@taknakano















