そして、こう続けている。
「私をワクワク・ドキドキさせてくれるのは、つねに目の前にある手牌なんです。」
「そして麻雀は芸術であり、人生そのもの。目先の損得だけが、人生の喜びや幸せに繋がるとも思っていません。」
大人になって、色々経験を重ねても。
黒沢咲は、まだ麻雀に恋をしているのである。
そんな可憐な少女は、
も
も切り切るつもりだったという事。目指すのは、綺麗なタンピンの手牌なのだから。
その先にある景色を思い描き、自分の麻雀を貫く。そんな黒沢の麻雀への向き合い方が、この一打に表れて、牌も想いに応えたのである。
思いがけない幸運を授かり、リーチへ。
そして、最後に見せた景色は、あまりにも鮮やかだった。
無条件の逆転トップとなる、得意のドラ
ツモ。
それは、あの日は、ツモれなかった
と同じであった。一つ違うとしたら、手牌には紅の華色が添えられていたこと。
そして、最後に待っていたのは
黒沢の口元が、かすかに緩んだように映る。
それは、いつもの柔らかな笑みが咲きほこれた瞬間でもあった──。
インタビューで語った言葉で、よくやくこの日、私が抱いていた黒沢の表情に対する謎が解けた。
それは…
ママちゃん、お誕生日おめでとう
孫たちに挟まれて、とっても幸せそうでした https://t.co/YJNmE2BNw8
— 黒沢咲⚡️ (@kurosawasaki) October 22, 2026
昨日迎えたという、母への誕生日プレゼントだった。
プロとして歩む黒沢を、ずっと支えてくれた偉大なる大きな背中。負けたときには一緒に悔しがり、勝利を信じて応援してくれた。
そんな母へ、自分らしい麻雀で届けた花束だったのである。
そして、黒沢自身も。
自分の背中を見せたい存在がいた。
西子さん、ママのために寿司屋に弟子入りしました☺️ https://t.co/CLGOnOEPrt
— 黒沢咲⚡️ (@kurosawasaki) August 18, 2026
それは、愛してやまない一人娘だ。
「ママ、麻雀ごっこしようよ。」
ときどき、世界麻雀大会で表彰された母の姿をまねて、メダルを首にかけ、トロフィーを持ってお辞儀をするという。Mリーグの歴史とともに歩んできた娘が、今、黒沢咲という母の姿に憧れている。
母に支えられてきた黒沢が、今度は母となり、娘に背中を見せている。
娘が大人になったとき、この日のトップを覚えているかは分からない。
それでも、母へ届けたかった想いも、娘に見せたかった背中も、きっとこの一局に込められていただろう。
確率や期待値、AIが導き出す正解も、もちろん大切だ。けれど、愛情があるからこそ選べる一打も大切なのかもしれない。
数字にも、牌譜にも残らない。
そこには、誰かの心に残る確かな期待値があるのだから───。

日本プロ麻雀連盟31期後期(9年目)北関東支部所属。地方から麻雀熱をテーマに活動しています。【歩く地方リーグ】連盟公式対局の速報なども担当。【速報の中の人】JPML WRCリーグ3期・9期【WRCの申し子】と呼ばれてたり呼ばれてなかったり。













