黒沢咲が導き出したもの──AIには測れない愛情という期待値──【Mリーグ2026-27 観戦記 10/23 第2試合(麻雀2ch)】担当記者 小林正和

しかし、そこにはいつもの笑みはなく。

さらに南2局の

【3ソウ】と【發】のシャンポン待ちとした局。

アガリまで結びついたにもかかわらず、それでも黒沢の表情は変わらない。

確かに、黒沢らしいドラを多く重ねた高打点の手でもなければ、華やかなアガリでもない。

それでも、その表情には悔しさや悲壮感ではなく、何かをかけたような静かな強さがあった。

その胸に秘めた想いとは、一体──。

そして,迎えた南4局2本場

点棒状況はご覧の通り。

四者の点差はわずかであり、誰がトップになってもおかしくない展開となっていた。

そんなオーラス、黒沢が逆転トップをつかむための条件。

それは、リーチ棒1本に2本場を加味すると、マンガンの出アガリ、あるいはツモなら1,300・2,600以上となっていた。

最初の分岐点は4巡目の、思いがけず【白】がトイツになった、この瞬間だった。

黒沢は、ここで


【白】のトイツに手を掛けた!

最新AIが推奨するのは、ここで【1マン】切り。

驚くべき事は、その推奨率が100%という点だ。他のタイプのモデルでも、同様の結果となっている。

こうしてAIには辿り着けない景色へと向かっていくことに。

そして、次なる分岐点が訪れたが6巡目であった。

なんと【白】のトイツ落としが活き、残していた【1マン】が重なってピンフのイーシャンテンとなった何切るシーン。

ドラ受けも残っており、ピンフにしてそのドラをツモれば、無条件で逆転トップとなる手格好である。

そうなると、【3マン】や【6マン】、あるいは形を決める【3ピン】あたりが候補に挙がるかと思われたが、黒沢が選んだのは…

【1マン】ツモ切りだった!!

Mリーグ・ルールにマッチした、トップ量産型のウロボロスが推すのは【3ピン】切り。

ピンフを確保しつつ、【3マン】や【6ピン】引きからタンピンへの変化も見据えた一打である。【1マン】には推奨バーが全く出ていない。

参考までに、旧タイプの推奨はというと、

【6マン】や【3マン】切り。

目一杯に構えつつ、場合によっては一発や裏ドラ・赤に期待する打ち方となっていた。こちらも、【1マン】切りを促す指針は存在していない。

最新タイプと旧タイプ。
それぞれが示した、異なる2つの道。

しかし、黒沢が選んだのは、そのどちらでもなかった。推奨をなぞるのではなく、自らの感覚で選び取った第3のルートとなる【1マン】という道。

その先に待っていたのは…

このルートでしか受け入れられないカン【2マン】の引きによる最速テンパイであった。

もちろん、結果論なのかもしれない。期待値だけで見れば、選びにくい一打だったのかもしれない。

そんなとき、私は黒沢の著書に記されていた言葉を思い出した。

「私は麻雀を確率や期待値のゲームだとは思っていません。」

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