熱論!Mリーグ【Thu】
決してブレない鉄メンタル
魔王・佐々木寿人の
半荘支配計画
文・真中彰司【木曜担当ライター】2019年2月7日
2月7日。今日の解説は“トイツマスター”こと土田浩翔プロだ。
前回はフェニックスの近藤とのコンビ解説だったが、今回はソロ解説での登場となった。
レギュラーシーズンが最終盤を迎えているこの時期、1戦ごとに激しく順位が入れ替わる状況では、解説している選手も気が休まらないだろう。
選手の負担を減らして試合に集中してもらうためにも、Mリーガー以外のプロ雀士を解説に呼ぶのはとても良いことだと思う。
ちなみに金曜日は内川幸太郎プロが解説なので、ファンの方はお楽しみに。
さて、話をファイナル進出争いに戻そう。
各チームが残り4~6試合となり、ファイナルへのチケット争奪戦は段々と条件戦の様相を呈してきた。だがしかし、ここまでの大混戦を誰が予想しただろうか。
推しチームの選手を応援するのはもちろんだが、試合を見ているうちに
「あの選手の打ち方面白いな」
「この選手の手作りカッコいいな」
と、どんどんMリーグ全体を好きになってきている人もいるのではないだろうか?
そんなMリーグも、悲しいことにあと4日でレギュラーシーズンが終わってしまう。各チーム年100試合くらいあってほしいと常々思うのだが、所属団体のリーグ戦やタイトル戦との兼ね合いもあるため、難しいところである。
改めてここまでの132半荘のポイント変動を見てみると、Mリーグでいかに激しい戦いが繰り広げられていたか、お分かりいただけると思う。
特に驚異的なのが麻雀格闘倶楽部(以下KFC)。白い折れ線グラフが示す通り、一時期はマイナス400ptで最下位に沈んでいたのだ。それが今や4位と、ファイナル進出圏内まで復活してきた。
そのKFCを支えてきたのは間違いなく、“魔王”こと佐々木寿人だろう。
出場試合数は21人中トップの35試合。ポイントはトータル4位の159.8pt。
開幕当初はなかなかポイントを伸ばせず苦しんでいたが、「トップラスはプラス」を合言葉にトップを量産し、結果的にトップ10回、ラス10回という派手な成績に。
雀風からして、いかにも寿人らしい勝ち方だ。
しかし今回はファイナル争いの相手、フェニックス・茅森との直接対決だ。少なくとも茅森より上の着順を取らなければ、ファイナルへの道は開かれない。
ゼウスも軍師も女豹も恐れない、大魔王の降臨だ。
東1局、席に座るなりさっそく最速手順でリーチ。
ペンという愚形待ちで2600点の低打点、お馴染みのガラクタリーチだ。
こういうリーチをブレずにかけ続けられるのが寿人の強さ。
とにかく攻め続けて相手を制圧し、半荘を支配する。
今日も寿人の“半荘支配計画”が始まった。
しかし近年の寿人は攻撃だけでなく、守備で魅せる場面も増えてきた。
その一例が東1局1本場。
まずは茅森がドラ対子でのカン待ちのリーチを打つ。
平均打点が7800点の茅森だ。安いはずがない。
そこにダブをポンした勝又が無筋のとを押している。
勝又はリスクに見合わない勝負はしない。これも確実に手が入っている。
そこに苦しいながらペンでテンパイしていた寿人だが、ここでを持ってくる。
は茅森に通っておらず、勝又の河にもソーズがほとんど出ていない。
小考ののち、スッとを切って降りを選択した。
もともとの超攻撃型のイメージもあって、ここはゴリゴリ押していくと思った視聴者も多いだろう。土田プロも「何だって!?」と驚きを隠せない。
当の寿人は「俺だって守備くらいできるんだよ」と、涼しげな表情。
しかし、やはり豪快に攻めてこそ寿人。守備力を見せたのはほんの一瞬だった。
勝又の芸術的な高目三色、待ちの親リーチに対し…
「リーチ?聞こえないな」
と、お構いなしで真っ直ぐにを打ち抜いた。この間、ツモってから切るまで約1.2秒。
この男には、プレッシャーというものが無いのだろうか?
ファイナル進出争いをしているこの状況、1打1打に凄まじいプレッシャーが懸かっているはずだ。ましてや相手は親番の勝又。放銃したら致命傷になるのは間違いない。
誰もが放銃を恐れて萎縮してしまう場面でも、果敢に攻められる精神力。