もはや今の寿人のメンタルはダイヤモンドよりも固い。
何人たりともそのファイティングポーズを止めることなどできないのだ。
ともノータイムで押し続け、待ちで追い付く。
枚数はが3枚、とが1枚ずつ。勝又の方が2枚多いため、多くの人は勝又がツモるか、寿人がを掴んで放銃、という結末を想像するだろう。
しかし、確率なんて簡単にひっくり返してしまうのが魔王の底力。
海底牌に眠っていたを掘り起こし、劇的な満貫ツモ。
倒れるなら前のめりにと、腹を括って危険牌を押し続けた寿人の執念の勝利だ。
その後は放銃を重ねラス目に落ちてしまうが、魔王にとってはよくあることだ。
放銃上等。やられたらやり返す。それが“チームガラクタ”ではないか。
「はいはい、とりあえずこれで3着ね」
まずはリーチ・ツモ・裏1の2000オールでラス目を脱出すると…
「これで足りるかな」
このリーチ・ツモ・・ドラ1でラス牌のを力強くツモりあげ、あっという間にトップ目に復活。一度地獄を見た男にとっては、このくらいの逆転は朝飯前だ。
勝又の渾身の跳満ダマテンも、魔王の支配の前では一歩及ばなかった。
オーラスも勝又・茅森とのアガリ競争を制し、見事にトップを獲得。
終始攻め続けて半荘を支配し、個人としては11勝目を挙げた。
この勝利で寿人は個人成績3位に浮上。
そして、KFCは初戦以来、実に75試合ぶりにプラス域に到達。
本当に長い長い道のりだった…と、振り返りたいところだが、そんな時間はない。
2連投の次戦でトップを取ると、4位争いから1歩抜け出せる。
そう意気込んで2戦目に向かった魔王に、またも強敵が立ちはだかる。
現在連勝中のマジシャン・園田賢(個人成績2位)だ。
さすがの寿人も、園田が相手では苦戦必至か…と思いきや、1戦目でトップを取ってノリにノッてる魔王は止まらない。
東1局から、2軒リーチに無筋のとを切り飛ばして追っかけリーチ。
これを園田から一発で討ち取ると、なんと裏ドラがで跳満のアガリ。
3900の手が12000に化けた。恐るべし魔王。
「これで決まりだ」
東2局も8000点を加点し、迎えた東3局。
この局も寿人は最速でチートイドラドラを仕上げ、1枚切れの単騎でリーチ。
跳満を引いて勝負を決めようという算段か、まさにやりたい放題だ。
今にも3000-6000か8000という、高笑いが聞こえてきそうな雰囲気だ。
この半荘も魔王に支配されてしまうのか…と誰もが思ったその時。
1人の武士が、魔王に立ち向かおうと静かに機を窺っていた。
そう、寿人の永遠のライバル、滝沢和典である。
風林火山のエースとして、チームの首位独走に大きく貢献してきた。
その滝沢との“タキヒサバトル”がここで勃発。
果たして滝沢は寿人の支配を止めることが出来るのか!?
残念ながら、私が書けるのはここまでだ。続きはゆうせ~さんの観戦記をご覧あれ。
そして見てほしい。ファイナル進出を賭けた激しい戦いの結末を。
ほとばしる衝撃波!滝沢和典の繊細な技術と
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