前巡に他家から濃い数牌が余ったのを受けて、白鳥は9巡目にドラそばのを処理する。
なんとその次の手番で滝沢がカンのテンパイを入れる。
1巡でも切り遅れていたら白鳥は放銃となっていた。まさに紙一重の打牌。
そのままテンパイ流局に持ち込む。翔タイムは終わらない。
東4局8本場、
白鳥はここで、
打とする。ペンが残ってのリーチのみには魅力が薄い。マンズもソウズも形が良く、ペンチャンが最後まで残ってしまう可能性が高いので、ドラそばのを残してを切った。
こうしておくと、の周辺の牌だけでなく、
こののようなマンズソウズの補助の牌や、安全牌を手に置くことが出来る。
これも一手先を見据えた柔らかい一打だ。白鳥のよさが存分に出ている。
最終形はこのようになった。6巡目に打としていなければ、が手に残らず、このテンパイは組めなかったであろう。
しかし、ここはアガれずに一人テンパイで流局となった。
次局、東4局9本場で、
園田が満貫をツモアガり、翔タイムは終わりの時を迎えた。
実に10局もの間、親権を維持した白鳥。この記録はMリーグ史上に燦然と輝き続けるだろう。
そして、最後に特筆しなければならないのは、この後のゲームメイクだ。
南1局
前原と滝沢の2軒リーチがかかって、
白鳥はこの手牌で長考に入る。
滝沢の河(13巡目は)↓
前原の河↓
白鳥が出した結論は、
打だった。前原には現物だが、滝沢には超の付く危険牌だ。
これは、ここで前原がアガった場合に麻雀格闘俱楽部の2着が濃厚になってしまうため、滝沢への差し込みをねらったものだ。
仮に前原がリーチ合戦を制した場合を想定しよう。4着滝沢は大きく点数を減らしていて、まくることは難しそうだ。また3着園田は親番がなくなってしまうため高打点を作ることが出来る可能性が減るし、前原の親番時にはそこまで無理をすることは無いだろう。
さらに、滝沢が待ちであった場合は自分が切らないと滝沢の勝ち目が薄いことも挙げられる。その際にはここで白鳥が5枚持っているを差し込まないと、ほぼ前原のリーチ勝ちになってしまう。逆に待ちでなかったらそれはそれで滝沢が勝つ可能性が高いとも考えられて、差し込みだけでなく、素点を守って静観する、園田の仕掛けへアシストする、など別の選択肢も生まれる。
結果は、滝沢への8000の放銃となった。
8000の打ち込みとなると、一見いけないことのように映るが、白鳥はこのケースも含めてチーム状況諸々考慮しての打牌選択をしていたことは間違いない。
さらに南2局、
園田のリーチに対して、白鳥はここからを打った。
これが園田への8000の放銃となり、ドリブンズを2着に押し上げることとなった。
これも、現時点で麻雀格闘俱楽部を3着に落とすことが出来るのと、真っすぐ手を進めて自分がさらに加点できる可能性とを追ったものだ。
そして、このままの着順でこの半荘は終わり、白鳥は麻雀格闘俱楽部と1着3着を決めることに成功する。
最終戦を残してのチームランキングはこのようになった。ABEMASは3着浮上だ。
もちろん、これら差し込み気味の打牌には、麻雀格闘俱楽部が2着で終わってしまった時にABEMASの素点がただ減ってしまうだけになるというリスクも存在する。そのリスクも背負ったうえで、チームのためにその瞬間のベストを尽くそう、と懸命に牌を選ぶ白鳥の姿は胸を打つものがあった。
さて、本人はインタビューで連荘中以外は泣いていないと言っていた。
こちらはトップが決まったときの表情だ。