番外編:「麻雀を見せる」ってどういうことじゃ?」VTuber千羽黒乃の麻雀講座【第10回】

やっほーーい! 儂じゃよー!
今日も元気に3000・6000! 麻雀歴1000年の鴉天狗、バーチャルYoutuberの千羽黒乃(せんばくろの)じゃ!

前回は「唯一の雀頭が面子になってしまったときの打ち方」についてお話ししたのじゃ。受け入れ枚数は大事だけど、「好形になる」受け入れ枚数も大事じゃ! という内容。実戦でもよく出る形なので、ぜひぜひ読んでほしいのじゃ!

まだ読んでいない方はぜひぜひチェックじゃ!

このコラムも早いもので第10回目。こんなに長く続けられたのも、日頃から読んでくれる皆様がいてくれたからじゃ!

そしてそして、おかげさまで10月1日発売の近代麻雀からは本誌でも連載が始まることになったのじゃ! 儂のコラムとふんぼ先生の4コマ漫画が両方読める! ぜひ楽しみにしていてほしいのじゃ!

ふんぼ先生のツイート

2ヶ月に渡って麻雀の技術に関するお話を連載してきたこちらのコラム。
節目を迎えた今回は少し趣向を変えて、儂なりの麻雀との付き合い方を書いてみようと思うのじゃ! お付き合いいただければ幸いじゃ。

「麻雀を見せる」ってどういうことじゃ?

儂、千羽黒乃がバーチャルYouTuberになっておよそ2年。
活動を通じてたくさんの方に儂の麻雀を見ていただき、数え切れないほどの素敵な出会いと対局を経験させてもらったのじゃ。

競技プロでもなく、かといってただの趣味人としてでもなく、エンターテイメントとして麻雀を見せるというのはどういうことなのじゃろう?
「他人に見られながら麻雀を打つ」という経験は数えるほどしかなかった儂にとっては全てが初めての経験だったのじゃ。これまで自分が楽しむためだけの麻雀を打ってきた一羽の鴉天狗は、「麻雀を見てもらって、楽んでもらうにはどうすればいいんだろう?」という疑問に直面したのじゃ。

(初めての麻雀配信! 視聴者は6人だったのじゃ!)

「個性的な麻雀」って?

たとえば、「個性的な麻雀」を打つのはどうじゃろう?

麻雀における個性とはたとえば攻撃型と防御型、鳴き型と門前型、打点型と速効型といったカテゴライズこそできるものの、それらでキャラクター性を出すことは視聴者にも麻雀経験や知識を要求することになってしまい、あまり方針と合わないと考えたのじゃ。

そして、麻雀というのは上達するほどに個性を出すのが難しくなるゲームだとも考えているのじゃ。
対戦経験にもとづく人読みやラグ読みといったデジタル化が難しい部分を除けば、麻雀は統計データや確率に基づいたセオリーが非常に強力な競技じゃ。

どんな雀風であろうと、レベルの高い打ち手であるほどベタオリの手順は似たものになってゆくし、平面での「何切る」は正確な牌効率にもとづいた打牌になってゆくはずじゃ。

こうした理由から「雀風だけで個性を出す」のは難しいと判断したのじゃ。

そして、麻雀は「強さ」だけで個性を出すのも難しいのじゃ。
たとえばFPSや格闘ゲーム、囲碁将棋のような競技ならば、一流のプレイヤーが10連勝、100連勝するところを見せることも可能じゃろう。

しかし、そうもいかないのが麻雀というもの。超一流の打ち手であってもトップ率が5割を超えることは非常に稀じゃ。
しかも麻雀の成績には好不調の波が生じるもの。数十戦、数百戦程度では大きくブレることもあり、安定した結果が出るまでには数千半荘を要するとも言われているのじゃ。

配信を観に来てくれた人に「いま不調だから、あと1000半荘くらい待ってほしいのじゃ!」というのは虫が良すぎるじゃろう? その人は、もしかしたら二度と来てくれないかもしれないのじゃ。
そうなってしまったらその1半荘、たった1局がその人にとって「千羽黒乃」の全てになってしまうのじゃ!

麻雀との向き合い方を伝えるのじゃ!

つまり、勝とうとも負けようとも一局で「千羽黒乃の麻雀」を見せなければいけないのじゃ。
勝負事である麻雀において、勝ち負けでないなら何が見せられるのじゃ?
そして、儂は麻雀を通じて何を伝えたいんだろう?

それは

・「勝負に向き合う姿勢」
・「打牌の意図」

の2点だと考えたのじゃ!

「勝負に向き合う姿勢」とは、勝ち負けに関係なく麻雀そのものを楽しむ心、対戦相手への敬意を持つことじゃ!

勝ち負けがつくゲームならば勝てば嬉しい、負ければつまらない、そういった考えの方も当然いるじゃろう。しかし、ときに理不尽に負けてしまうことがあるのも麻雀の一面と受け容れて楽しむ、同卓者に感謝する姿を見せるこそが儂のやりたいことであり、それが麻雀に興味を持ってもらうことに繋がると考えたのじゃ。

論語の一節に「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。」とあり、何事においても心から楽しんでいる人こそが一番だ、といった意味合いなのじゃが、これを体現できるような打ち手でありたいと儂は常々心がけてるのじゃ。

「打牌の意図」とは一打一打、どういう考えで打ったのか分かりやすく説明するということじゃ。

プロの放送対局では私語が禁止なのはもちろん、麻雀仲間との対局などでも毎巡考えを説明する方というのはなかなかいないじゃろう? 打牌意図を示すことはそのままエンターテイメントになると考えたのじゃ。
初心者の方にも麻雀の打ち方を分かりやすくするとともに、上級者の方にも自分はこういう打ち手なのだと示すことができる。また、コメントで質問があればすぐに反応できるというのもバーチャルYoutuberの強みと考え、積極的に考えを口に出すようにしたのじゃ。

この2点を常に心がけよう、磨きをかけていこうと考えたのじゃ!

(直近の麻雀配信! これからもよろしくお願いするのじゃ!)

最後に

もちろん、だからといって勝ち負けがどうでもいいというわけでは全くないのじゃ!

歌舞伎の世界の言葉に「型がある人間が型を破るから”型破り”、型がない人間が型を破ったら”形無し”」という言葉があり、それは麻雀においてもバーチャルYoutuberにおいても言える考えているのじゃ。

「基本の型をしっかりと修めて技術を磨き、勝率を高める最大限の努力をしたうえで、勝敗に関わらない部分を楽しんでもらう!」こうした麻雀、配信スタイルに行き着いたのはこうした考えに基づいたものじゃ。
儂の麻雀を評して「千羽さんの麻雀は”麻雀道”なんだ。勝っても負けても千羽黒乃なんだ」と言ってくれた方がおり、それが心底嬉しかったのを覚えているのじゃ。

儂をここまで育ててくれた麻雀に恩返しをするためには、何をするべきなんだろう? 今でも毎晩のように考えることじゃ。まだまだ修行中の身、儂の力は微々たるものじゃが、過去と未来を繋げるような麻雀が打てるよう日々精進していく所存じゃ。

これからも何卒よろしくお願いするのじゃ!

(なんか最終回っぽいしんみりした〆になっちゃったけど、来週からも普通に続くんじゃよー!🐦)

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