誰かと待ち合わせてる
みたいに見えたなら
間違いじゃない
文・越野智紀【金曜担当ライター】2022年2月11日
【第1試合】

東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
「どこが変わったか分かる?」
彼女からこの質問が出たときには既に負け戦に突入しています。
こう言われる前に気づいて褒めていないといけません。
さらにここで回答を間違えたらどうなるか?
そこそこ腕は立って修羅場もいくつかぬけてきた人なら勘も働いてると思いますが、死です。
私たちは日常に溢れている危険を回避するために、女性の小さな変化に敏感になる必要があります。
思い出してみると前回3週間ぶりに出場した時の日向選手が随分と艶っぽく見えていました。
謎を解明すべく前回の試合やシーズン序盤の試合を見返していたのですが、どうやら1巡目の孤立した1・9・字牌の切り順に答えがあったようです。
例えばと持っていて
を切った後に
と引いても
があれば嬉しいですが、
を切って
を引くと結構な痛手になります。
そういったことからみたいに牌を持っていたら
を切るのが一般的です。
ところが前回の日向選手は

さらにを残しての
も

ここでの残しもそう。
裏目を引いても怪我が少なそうな局面であれば相手の読みを狂わせようと画策していました。
…これが艶の正体だったのです。

復帰2戦目となった今回の試合でもを残して
切りでスタート。
遠くの一通などマンズの伸びを見たというよりも、相手に与える情報を遅らせるのが狙いに見えます。
タンピン形に見える切り出しにしたほうがのトイツも活き、チートイツになった場合でも読みづらい捨て牌になって良いです。
相手に自分の手を読みづらくさせて、自分は相手の手が読めれば有利に戦えます。
東3局。

瑞原選手の同巡二鳴きを見て、

相手の手が整っていないと判断して重なる前にと急いで切り。

その後も自分の都合で手を進めて終盤にリーチを打ちます。
一方この局、他の選手も読みの鋭さを見せていました。
が山に残っていると判断した内川選手が
のテンパイに取らず(
は山に3枚残り)
のトイツ落としをすると

その動きを一瞥して先切りする園田選手。
内川選手がドラを重ねてで復活する未来に備えました。

さらに園田選手は日向選手のリーチを受けた時には全員に安全なを打たず、どうせ
は切らないのならと
を切って安く済みそうな瑞原選手には放銃しても良しの構えにとると

周りの速度・打点など正確に把握しながら終盤テンパイに漕ぎ着けました。

結果は日向選手は4,000オールをアガれましたが、読みが効く状態の園田選手は正に魔術師の本領を発揮してきます。
日向選手は東3局1本場でも艶。

麻雀は牌を繋げていくのが大事ですが、引いてもそこまで
が有効に働かないので
より先に
を切ります。
この切り順を見た相手がと
のどちらが日向選手の手になさそうかと考えた時、
を持っていないと読むことが多いです。
こういう読みを狂わせる手順が、相手のアガリ逃しを誘発することもあります。
南1局。