【 #神域リーグ2024 第16試合観戦記】#える が、悔しさに拳を固く握った 負けるのが“仕方ない”だなんて、思いたくないから【文 #後藤哲冶 】

チームアキレスの現状は、決して悪くない。

シンデレラガールゴモリーの活躍で、チームは大きくプラスポイント。
全体順位は2位で、1位のアトラスとの差もほぼ無いと言って差し支えない。

そんな中で、今日登板するのはえる。
これが神域デビューから3試合目となった。

対局開始直後、えるが、今自身が抱えている想いの丈を語ってくれた。

「チームが良い調子だから。チームの誰かが強い、って言われるのも嬉しいけど、アキレス全体に波が来てるなって、言われたいよね」

思うところは、あるのだろう。
アキレスで獅子奮迅の活躍を見せる、ゴモリー。
チームメイトの勝利を喜びながらも、それにずっと頼りっぱなしでは、いたくない。
序盤苦しんでいた咲乃も、トップを獲得してチームにプラスポイントをもたらした。

その流れに、自分も続きたい。
今日は対戦相手に監督が2人と厳しい卓ではある。
しかしそれは、えるが勝利を諦める理由にはならなかった。

第6節 第1試合

東家 える(チームアキレス)
南家 松本吉弘(チームヘラクレス)
西家 渋川難波(チーム グラディウス)
北家 空星きらめ(チームゼウス)

流局、松本の1300オールで迎えた東2局2本場

「え?」

親番の松本が配牌を整えると、そこには『立直』の文字。

当然のダブルリーチ。ピンフに赤1と12000が確定している凶悪なダブルリーチだ。

これに飛び込んでしまったのが、えるだった。
自身の手があまりにも良くなり過ぎた。【4ピン】【7ピン】【3ソウ】【6ソウ】のイーシャンテン、タンヤオイーペーコー赤まであるこの手は簡単にオリたくは無く。
通っている牌は現状【4ソウ】のみ。
となれば一番弱いターツ且つ、外側の牌である【2ピン】が選ばれるのも致し方ない。
えるはいきなり12000点を失ってしまった。

その後も松本が止まらない。

3本場に6000オール、4本場に4000オールと加点を重ね、なんと僅か5局にして77900まで点棒を積み上げた。

東3局

今度は、親番を迎えたグラディウス監督渋川が襲い掛かる。

まずはチートイツドラドラの勝負手を、松本の追いかけリーチも振り切ってツモアガリ。
これで6000オール。一気に2位争いから抜け出すと。

続く1本場では【4マン】【7マン】待ちを一発でツモアガっての4000オール。
苦しいながらようやく上向いてきたチーム状況を、監督の自分が壊すわけにはいかない。
8万点近く点棒を稼いだ松本に、渋川が追いすがる。

そして迎えた東3局3本場
もう渋川の親を止めなければいけないと松本がリーチ。
そしてトップを取るべく、ダブ【東】ポンでテンパイを入れていた渋川がそこに全力プッシュ。

軍配は、松本に上がった。
追いすがる渋川からの8000直撃は、トップを決定付ける一撃。

……とここで、ここまで出番がほとんど無い、ゼウス空星の様子を見てみよう。

「俺たちも仲間に入れてくれよぅ! 二人だけで、麻雀しないでよぉ!」

うん、泣いてた。

明確に強いトッププロに、幸運まで味方しては手のつけようもない。
分かっていたことではあるかもしれないが、松本、渋川を含め神域リーグに参加している監督は皆、日本を代表する麻雀のトッププロなのだ。

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