熱論!Mリーグ【Thu】
所要時間49分!
魚谷侑未が勝利した
一戦に見る、
Mリーガーの『時間』
文・東川亮【木曜担当ライター】2020年1月16日
49分。
これは、1/16の「大和証券Mリーグ」1戦目における所要時間である。
わずか9局での決着となった一戦だが、それにしても49分は早い。
比較するようで恐縮だが、1/14の1戦目は49分を経過した時点でまだ東3局(7局目)の途中だった。
この試合は各チームのエース格がそろった一戦となり、試合には気持ちの良いスピード感があった。
もちろん考えるべきところは考えるべきなのだが、選択の早さと正確さ、そして深さは、一流雀士の条件の一つと言っていいだろう。
今回はセガサミーフェニックス・魚谷侑未が勝利した一戦を通じ、それぞれの選手がわずかな時間の中で見せた判断について取り上げてみたい。
1戦目
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
東1局、試合開始から40秒。
寿人がいきなり自風のを鳴いた。
この局の寿人は西家で、はドラ表示牌で1枚見えている。
形だけを見れば門前でのリーチ進行も見られそうだが、寿人はこの配牌を見た段階で、
「のみの1000点で親を蹴る」
という決断をしていたのだろう。
を鳴くか鳴かないかを決めかねている内に切られ、それを鳴きそびれたとあれば、この手は唯一の武器であるスピードを失い、打点の担保もないという、著しく魅力を欠いた手となってしまう。
もちろん鳴かずにリーチを目指すという選択も十分考えられるが、いずれにせよ、方向性を早めに定めておくことは非常に大事だ。
寿人はすぐにもポンして待ちテンパイ。
そこから少々時間がかかり、勝又から待ちのチートイツリーチを受けるも、
無スジのをノータイムで打ち抜き、勝又からを打ち取った。
東2局の勝又、10巡目にこの形。
勝又はここで打牌に12秒ほどの時間を要しているが、この間にさまざまなルートを用意したと思われる。
たとえば
・3枚見えのカンを引いたとき
・を引いたとき
・が鳴けた、あるいは自力で重ねたとき
・ドラを重ねたとき
など。
勝又の選択は打。
確かに、マンズは2メンツもしくは打点の種でドラは打ちたくない形、
ピンズは良形、は役ということで、形と打点の両方で一番不要なのがのトイツに見える。
次巡、を引き入れて役なしカン待ちテンパイ。
多井から打たれたをすかさずポンして待ちをドラ単騎に変えると、
寿人の手から余ったを打ち取って8000点のアガリを決めた。
恐らく、少考の段階でこのフィニッシュのイメージはあったはずだ。
選択の場面でしっかりと先の構想を準備したからこそ、スムーズにこのアガリにたどり着いたと言える場面だった。
東4局。