『ラッキーでした─』 悪夢のような試合を終え、多井隆晴は言った【Mリーグ2024-25観戦記 4/7 第2試合】担当記者 #東川亮

『ラッキーでした─』

悪夢のような試合を終え、多井隆晴は言った

文・東川亮【月曜代打ライター】2025年4月7日

朝日新聞Mリーグ2024-25セミファイナル。

レギュラーシーズン6位通過の渋谷ABEMASは、開始時点でファイナル進出ボーダーの4位まで270ポイント近い差がある。この差を踏まえ、チームで掲げた方針は

「20戦で8トップ4ラス」

トップをプラス60、ラスをマイナス50と仮定すると、この目標を達成できればプラスは280ポイント、現状の差を埋めることができる。

だが、初戦は松本吉弘が奮闘むなしくラス。

マイナスを取り返すべく、チームの大黒柱・多井隆晴が2戦目に向かう。

しかしそこに待ち受けていたのは、まさに悪夢のような一戦だった。

 

第2試合

東家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)

南家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)

西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)

北家:茅森早香(セガサミーフェニックス)

この試合、多井の幸先は良かった。東1局の親番で太からリーチドラ赤の7700をアガると、

次局は太に裏3のハネ満をツモられるも、東2局でリーチ一発ツモ【發】赤の2000-4000をアガって再びトップ目に立つ。

だが、ここから多井は激しい嵐に巻き込まれることとなった。

東3局は親番の仲林がこちらもリーチ一発ツモ、ピンフ赤に裏も1枚乗せて6000オール、多井のリードが一撃で吹き飛び、追う展開に。

東3局2本場では仲林が太からリーチ一発ピンフ裏の12000は12600を出アガリ。トップがほしい状況で、仲林がどんどんと上に突きぬけていく。

そして、東3局3本場では茅森が裏ドラになる【4ピン】をツモアガってリーチツモピンフドラ赤裏の3000-6000は3300-6300。

他家の高打点に巻き込まれ、気付けばリードはどこへやら、多井は3着目まで後退してしまった。

何とか巻き返していきたい、そんな東4局で多井の手は配牌1シャンテン、ダブルリーチチャンスという手牌だった。

2巡目にテンパイ。これが1巡目であればダブルリーチタンヤオドラで満貫確定だが、2巡目だと愚形待ちの5200から。好形変化も期待できるので、ここはテンパイを取ってダマテンとする。

【5マン】がトイツになってのシャンポン待ちテンパイから、ソーズが変化して【5ソウ】【8ソウ】待ちリーチ。タンヤオピンフドラ赤、高目イーペーコーで、倍満まで見えるリーチになった。わずか5巡でこのテンパイなら相当アガれそうだ。待ち枚数は・・・

・・・1枚て。

それもすぐに脇へと流れ、全員が守備的に打ったことから、この局は1人テンパイで流局となってしまった。

加点こそしたものの、それを素直に喜べるような手や状況ではない。

迎えた南1局1本場、親番。

またダブリーチャンス?しかも123の三色になりそう。今度こそアガリを・・・

第1ツモは【東】、ダブリーならず。まあ、じきにテンパイして先制リーチをかけられるだろう。

そしてできれば6000オール・・・多井もそう考えていた。

なのに、まさか。

太から本物のダブリーが飛んで来るとは。しかもピンフ確定の【3マン】【6マン】待ち、多井には【6マン】が浮いている。

それでも枚数は薄く、マンズにくっつけば十分に反撃できたはずだ。しかし、ピンズが伸びてカン【2ピン】待ちテンパイ、こうなったら【6マン】が出てしまう。

ダブルリーチタンヤオピンフドラ裏、12000は12300はあまりにも惨い仕打ち。

ラス目の太へのハネ満放銃で、多井はラスまで沈んでしまった。

厳しい展開だが、もちろん多井は折れない。南3局タンヤオドラ、ツモれば満貫からのリーチをかける。トップは厳しいかもしれない。しかしこれさえアガれれば、2着は十分に射程圏内だ。

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