持っているものは誰だ!
想いと技が交錯する
IKUSA最終章
文・ZERO / 沖中祐也 2023年6月5日
面構えの違う歴戦の猛者たちが、きらびやかな会場で麻雀を打ち、ABEMAで配信され、松嶋が実況して二階堂姉妹が解説する。
3ヶ月前、私が小雨の降る赤坂で参加したIKUSA予選は、この直視できないほど眩しい戦いと本当に地続きで繋がっているのだろうか。
散らかった部屋でモニターを眺めていても、全く実感がない。
あの日、漆黒の舞台に想いを馳せる208名のプロたち--私を含む--は、日を追うごとに姿を消していき、今日を迎えるにあたって4名へと絞られた。
その4名による6半荘で、IKUSAの優勝者が決まる。
初日の3半荘を終えたポイント状況がこちら。
プロ入り2年目の若武者、志岐(しき)が引っ張る形で、一井(ひとつい)、しゅもがそれを追う。初日にまさかの3ラスを引いた逢川は3連勝が絶対条件か。
4/6回戦
覇権を争う2人
戦いをリードするサムライヘアーが腕を組み、考えていた。
トーナメントリーダーである最高位戦の志岐祐大は、ロン毛がイマイチ不評につき、髪を上げたところ人気が沸騰したという。なお、亜樹と松嶋はロン毛派だとか。
顔がととのっているやつは何したっていいんだよ、ちくしょう。
あと3半荘、ここで志岐がトップを取ることができれば優勝がグッと近づくが、そうでなかったら眼下に迫る一井だけにはトップを取られるわけにはいかない。
そんな状況で迎えたこの手牌。
ドラのを切れば絶好の待ちになるが、そう簡単な話ではない。
親の一井の仕掛けがこう。
チーで出てきた牌が。
志岐はを4枚持っているため、が当たるならカンチャンかシャンポン。
シャンポンで打ったら12000から… か。
からを切って、をチーして打… ありえなくもない。
一井だけにはトップはとられたくない。
ではなくを切っておけば、ツモなどでテンパイに復帰できる。
ここで攻めるのが良いのか、守るのが良いのか。
「私には打てない」
そう、亜樹が言った。
をぶった切っての勝負駆けだ。
勝負を先延ばしにすればするほど保留すればするほど、戦いは苦しくなるものだ。
リスクは余裕のあるうちに負うものだぜ!
サムライヘアーが空調に揺らめく。
追う一井も
一発でツモってきたを勝負。
ここが勝負所と突っ込んでいく。
覇権を争う2人のめくり合いは
若きサムライが制した。
打点こそ500/1000なれど、大きな意味を持つアガリである。
逢川の反応
東3局4本場。
連チャンを重ねる親の逢川はここからを切った。
いわゆる6ブロック打法というやつだ。
基本は今重なったダブポンをメインに手を組むが、を打っておくことで123の三色も追える。瞬間は不安定だが、次にを重ねたら、ダブ良し三色良しの構えをとることができる。