安藤りなの覚悟〜
悲壮感のぶつかり合い
【B卓】担当記者:千嶋辰治 2024年3月17日(日)
「もしかしたら… これが最後かもしれない。」
安藤りなは悲壮感を漂わせてつぶやいた。
麻雀最強戦開幕の4日前、札幌で取材した安藤の姿はいつもと違っていたように見えた。
いつもの彼女なら、
「早く対局したい!」
「勝ちます!」
と、勝ち気で前向きな言葉を地元のファンに発していたが、この日の安藤は、
「頑張ります。」
と若干控えめな言葉選びに終始していた。
自信がない訳ではないと言う。
「ファンの皆さんのおかげで近代麻雀に連載を持たせてもらい、最強戦にも呼んでいただいています。しかし、私はファイナルに行ったことがありません。今はとにかく結果が欲しい。想いはその一点に尽きます」
意識している相手は? との問いには、真っ先に内田みこプロの名を挙げた。
「昨年行われたBEAST Japanextオーディションで、今回同卓する内田みこプロが大活躍だったじゃないですか。同世代の打ち手として、さらにはMリーガーを目指す者として、内田プロの活躍は意識しています。」
そして、冒頭の言葉である。
「こんなに輝かしい場所で、素晴らしい相手と打てることに幸せを感じます。だけど、それだけで満足してはいけない。麻雀プロとして『勝てなければ…もしかしたらこれが最後かもしれない』という意識は常にあります。覚悟を持って戦いたいですね。」
安藤の胸に秘められた「覚悟」は、卓上でどのように描かれたのか?
予選 B卓
中田花奈 (日本プロ麻雀連盟)
安藤りな (日本プロ麻雀連盟)
与那城葵 (日本プロ麻雀協会)
内田みこ (日本プロ麻雀連盟)
東1局。
安藤は配牌の14枚を取って理牌をした。
おかしい。
いつもの安藤なら、こんなに時間がかからないはず。
それに、よく見ると少しだけ指先に震えが感じられる。
「東1局から配牌が並べられないくらい頭が真っ白になり、パニックになってしまった。」
対局後にこう話していた安藤。
これほどの緊張をまとわせている姿はほとんど見たことがないが、
中田の仕掛けの声を聞いて、この後の摸打がスムーズになった。
我を取り戻したか?
安藤はドラ表示牌のを暗刻にし、早くもイーシャンテン。
両面ターツ2つを持って先制リーチへまっしぐら… だったが、
内田がチートイツドラドラのテンパイ。
まずは単騎から。
対する安藤。
ドラも、さらに仕掛けている中田の風牌であるもストレートに切り出して猪突猛進。
「今日はとにかく真っ直ぐに攻める。事前にそう決めていたんです。」