「慣習」は嫌いだけど
「おまわりさん」は大好き…⁉︎
【百恵ちゃんのクズコラム】
VOL.24
慣習
百恵ちゃんはやらなければいけない慣習というものが苦手だ。
学校では優等生だったため、卒業生代表や入学生代表の挨拶をやらされていたがその中でも三方礼という三方向に対して深く礼をする儀式があるのだが本当に嫌だった。
会ったこともない来賓の人に頭を下げなければならないのも苦痛だったし、一回で済ませてはダメかと小学生ながらに先生に打診をして怒られてしまい、
「三方礼のせいで怒られたじゃないか」
と余計に三方礼に対しての嫌悪感が高まった。しかし、百恵ちゃんは深々と三方礼をした。駄々を捏ねる方が面倒臭いと知っていたからだ。
そして郵便局の人には悪いが小さい頃から年賀状が嫌いであらゆる方法を使って逃れてきた。
お父さんに
「せめて五枚は出しなさい」
というよくわからないノルマを課されても、パソコンを使ってかわいい年賀状を作ってくれる様になってもそれは変わらなかった。年賀状が届いてもほとんど無視をして生きてきた。
それは今でも変わらず、LINEで年始の挨拶がくるとやはりめんどくさくなってしまう。相手にもよるが大抵の場合スタンプを返すだけだし今年も2020年であるにも関わらず、2017年のあけおめスタンプを使って乗り切った。返事をするようになっただけ成長したと思う。大人になるということはこういうことなのだろう。
ちなみに自宅に届く親戚からの年賀状は未だに無視している。
おまわりさん
意外に思われるかもしれないが百恵ちゃんはおまわりさんや交番、警察署が大好きだ。警察24時なんかの類のテレビも大好きである。ちなみに泥酔者のコーナーが一番好きだ。
『好きな公務員さんランキング』というものを作っていた時期があるのだが、ランキングでは警察官は常に一位で自衛官と消防隊員で二位を争っていた。他にも好きな食べ物ランキングや好きな乗り物ランキングなんかも作っていた。おそらく百恵ちゃんは相当暇だったのだと思う。
おまわりさんとの初めての出会いは小学校の頃だった。
ある日大きな公園で遊んでいると土管に落書きをしている中学生がいた。百恵ちゃんは即座にチクろうと思い立ち、近くの交番まで行った。しかしおまわりさんにはチクらず教育委員会の場所を聞いた。なぜなら土管の近くにあった注意書きには
『落書きをしている人を見かけたら通報して下さい。滝川市教育委員会』
と書いてあったからだ。百恵ちゃんは神経質な子供だったのだ。
おまわりさんはいきなりやってきた子供が教育委員会のありかを聞いてきたことにちょっと引いていた。
いじめられていると勘違いしたのか
「なにか嫌なことがあったのかい?」
と聞いてきたので事の顛末を話し、今から通報しに行きたい旨を伝えると爆笑された。百恵ちゃんはその時とてもイラッとしたのを覚えている。百恵ちゃんは大人に小馬鹿にされて笑われるのが大嫌いだったのだ。
おまわりさんに
「教育委員会はすごい遠いところにある。かわりに僕が通報しておく」
と言われ百恵ちゃんは結局教育委員会には行けずじまいだった。
そして百恵ちゃんの自宅におまわりさんから電話が来て一連の出来事をチクられ、一人で教育委員会に乗り込もうとしたと家族にも笑われた。
それでも百恵ちゃんの正義感は尽きることはなく、落とし物を拾っては交番に届けていた。中にはほとんどゴミ同然の物もあったが気にせず届け続けた。
そんな百恵ちゃんも大人になり物を落とす側になった。何度も財布を失くし、遺失物届けを出す人生を送っているが一度も返ってきたことはない。だが、いつか百恵ちゃんの様な素晴らしいコドモが見つけてくれて失くした金が返ってくるのではないかと期待している。
次回は4月9日(木)午前0時更新予定‼︎
【田渕家登場人物紹介】
・父 コージ:元陸上自衛隊幹部高卒ながら佐官まで登り詰めるも「髪型が奇抜すぎる」という理由で100年に1度あるかどうかの異動の内示取り消しをされた経験がある。現在は三度目の暖かな家庭を築いている。
・母 イクコ:美容師。美容室を自宅で開業するもパチンコにハマり開店休業状態を約20年続けた猛者。おそろしいほど料理が下手。ツーブロックにしたことがある。近況を知らせる連絡では年下のペンキ屋さんとお見合いをしたらしい。
・姉 タエ:無職。1度も定職に就いたことがなく家賃を滞納してはクビが回らなくなりお父さんに払ってもらいに帰ってく るお調子者。過去に大きな交通事故に遭いウン百万円もの保険金を手にするが全てホストクラブに費やした経験がある。
・エリー:田渕家の飼い犬。詐病のプロ。足をひきずったり弱ったふりをしては人間に甘やかしてもらう。動物病院で『至って健康』という診断をされるとそれまでの弱りっぷりを忘れ、凛々しい顔で帰ってくる。趣味は父の顔に噛みつくこと。オスだが思いつきでエリーと名付けられた。
・マイちゃん:母親同士が同じ美容師で仲が良く、物心がつく前から一緒にいた幼なじみ。かなりの美人だが偏差値は2くらいしかない。現在は3人の子供を産み働きながら育てているが一度も結婚したことはなく、更に子供たちは全員父親が違うという斬新なファミリーを築いている。そして最近ロシア人の子供を産んだばかり。
北海道出身。最高位戦日本プロ麻雀協会40期。座右の銘は「ビールは一日3リットルまで」。『近代麻雀』でも同コラムを連載中!