仕事に疲れた従業員や、帰れなくなったお客さんや、雀ゴロの格好の住み家だったんです。
その雀荘では、椅子と椅子を2つ向かい合わせにして、その間にはまり込んで寝た事もあります。そのまま、麻雀卓まで誰かに運ばれて、足のほうの椅子を外せば、即麻雀体制になりました。
少しお金に余裕ができたら、今度は雀荘の倉庫にビール瓶箱とベニヤ板を持ち込んで即席ベッドを作って寝ました。
「俺も寝かせろ」と中年の大男といっしょに寝たり、猫や女性を連れ込もうとして失敗したこともあります。
あたりまえか。
その雀荘ではとうとう隣の事務所に、ビール箱ではないベッドを持つまでに出世しました。
通勤時間ゼロで、交通費、通信費、光熱費もほとんどかかりません。
だから駒澤大学の授業料を、中退するまで7年間も自分で払えたんでしょうね。
今私は、東中野から高田馬場や新宿の店まで、自転車通勤をしています。神保町の店も、以前は自転車通勤をしてましたが、歳のせいか最近は地下鉄が多くなりました。
「親方、明日早朝から麻雀やりたいんだけど、店を開けてもらえませんか?」
お客さんに頼まれたら、もちろんそれに応えてます。
お客さんにセルフサービスをお願いして、若い頃のように、椅子を2つ合わせて仮眠しながら店番をするのも悪くありません。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2014年8月1日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/
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