南3局
激レアヴォイスとなっている黒沢の「ポン」の声が響く。2枚目を仕掛けてホンイツを望む。
次巡の朝倉、
とのシャンポンテンパイだ!
絞り出した「リーチ」の声には、勝利への執念が宿っていた。
リーチを受けても黒沢は、
当然のごとく、一歩も引かない。テンパイを崩してホンイツに邁進する。
この押しを受けた朝倉は、
このような面持ちで麻雀に没頭していた。
私は、朝倉の表情に既視感を覚えた。
そうだ。
初年度のぐるぐるまわるASAPIN`S EYEそっくりだ。他選手が打牌をした瞬間に、目でわかるくらいアンテナを張りめぐらせていたあの頃。キレのある判断でMリーグを沸かせていたあの頃。
あの頃の朝倉が戻ってきている。
そんな朝倉に対して、黒沢は押し続ける。朝倉はなかなかアガれない。
14巡目のことだった。
村上が、場に1枚、手の内に3枚のの壁を使って打った。そのスジを追った日向からが放たれた。
リーチドラ裏。トップを争う日向からの、この直撃が決め手となって朝倉は熱望していたトップを獲得した。
多くの温かい声援を贈っていた方々と同様に、私もホッとしていた。
と同時に、先日めったにラインをしない父親が朝倉に向けて送っていたメッセージが頭の中に思い浮かんだ。
父「最近苦しそうに麻雀を打っていたので麻雀が嫌いになったのかと心配していた。好きなことができ、それで生活ができる、こんなに幸せなことはない。そのことを喜び、感謝して毎日を過ごしてください。そして康心には康心の麻雀をして欲しい。それが父の願いです。」
珍しくいいこと言ってたから引用させてもらいました。オッケー出してくれてありがとう。
覚えたての頃は、誰もがみな麻雀のことが大好きだったはずだ。
それが、様々な物事に傷つき、心がへし折られて、くじけてしまい、「麻雀を打つのがつらい」と思う日がきてしまうものだ。
朝倉も先日まで、自責の念に押しつぶされそうで、麻雀を嫌いになりかかっていたのではないだろうか。
だが、朝倉はチームや家族、Mリーグ関係者の支え、ネット麻雀を打ち込むこと、そして自らの意志の強さで「麻雀を好きな気持ち」を取り戻した。そう私は感じた。
でも、きっともう心配いらないだろう。
朝倉「もともととの比較でを切ったというヘンな打牌もしてるんですけれど、黒沢さんが3巡目にを切る前にかなんか切ってたんですよね。そのあととか切ってておそらくソウズのホンイツを見ていた進行で…なんたらかんたら」
まつかよさん「わかりました、ありがとうございました」