永遠に感じる1巡 悲運のスター萩原聖人の祈りは通じたのか【Mリーグ2020観戦記12/22】担当記者:ZERO

それにはノーチャンスだ。

このとき、を切ると…

萩原のドラ暗刻に放銃となっていた。

しかし、前原はを切らなかった。

はノーチャンスだが、生牌。終盤にを手出しした萩原に危ない。
その上でを切らないとテンパイは取れない。

敗者にも美学がある。

同じ負けるにしても負け方というのがあり、前原はそれを大事にする。

さきほどの放銃を引きずっているのだろう。
みっともない敗者にだけはなりたくはない…

この前原の克己によって流局した。

前原は散った。

鮮烈の押しに、自ら敗北を認める最後のオリ。
見ている人全員に強烈なインパクトを残したのは間違いない。

南3局 疾風迅雷の萩原

前原が散り、私の注目は萩原に絞られた。

その萩原が4巡で決めた。

メンピン即ヅモ裏1という効率のいいマンガンを決めて、いよいよオーラスへ。

オーラス 萩原の運命

トップ目でオーラスを迎える萩原。

おそらくだが、トップ目で迎えるのは初めてのはず。

「おい!いいからMリーグを見ろ!」
「ハギー!ハギー!」

奇跡の瞬間を見届けようと、湧くファンたち。
祈るように持ってきた配牌は…

悪くない。
ただ魚谷とは6900点差なので安手は要らない。
ノーテンで伏せることができる。

ハンドリングが難しいところだ。

萩原が数巡ツモを見たところでこの手牌。↓

萩原はここからを切った。
ツモがあまり伸びなかったので、撤退メインで手牌に1番危険なを選んだというわけ。

ジリジリしたツモの中、2段目に突入する。
萩原にとっては1巡が永遠のように長い。

初トップまであと少し…!

場が動いたのは12巡目だった。

「リーチ」

魚谷ばかりを気にしていた萩原に、意外なところから声がかかる。

ハネツモ条件をきっちり作ってきた日向だ!

このとき、萩原がを暗刻で持っていて、山にはが1枚しか残っていなかった。
萩原の執念がを握りつぶしているようだ。

そして場には3枚。

「ツモ」

「3000・6000」

無機質に牌が並んでいるだけなのに、麻雀はなぜこんな残酷なドラマを演出するのだろう。

呆然とする萩原。すぐに我に返り

はい、と返事をする。
唇をかみしめている。

これで14戦ノートップになった。

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