Mリーグweeklyダイジェスト
2023年 5月8日〜 5月12日
朝日新聞Mリーグ2022-23ファイナルは、今シーズンから全16試合で開催される。ファイナル進出チームの内、過去に優勝経験があるのはEX風林火山のみ。史上初となる2回目の優勝か、それとも悲願の初優勝か。ファイナル前半戦8試合の模様を振り返る。
対戦カード:EX風林火山・KONAMI麻雀格闘倶楽部・渋谷ABEMAS・TEAM雷電
■5月8日(月)
第1試合
序盤は亜樹がリードする展開となったが、南1局に高宮が3軒リーチを制する一発ツモでハネ満をアガってトップ目に立つ。その後はポイントをキープしたまま局を進め、ファイナル初戦でトップを獲得した。
1位 高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)+57.0
2位 二階堂亜樹(EX風林火山)+13.0
3位 本田朋広(TEAM雷電)▲16.1
4位 日向藍子(渋谷ABEMAS)▲53.9
【観戦記】
ベルセルクに切れぬもの無し! 高宮まりの胆力が初優勝への道を切り開く(江崎しんのすけ)
第2試合
多井が東1局の親番で満貫をアガってリードをつくると、その後は安定した試合運びで失点を許さず、逃げ切ってトップを獲得。ABEMASは初戦のラスをすぐに巻き返した。初日はいずれもプラスの2着で終えた風林火山が勝ち頭となっている。
1位 多井隆晴(渋谷ABEMAS)+58.0
2位 松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)+15.1
3位 萩原聖人(TEAM雷電)▲10.4
4位 伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)▲62.7
【観戦記】
光輝くシャーレはすぐそこだ! 5度目の正直へ、多井隆晴の挑戦が始まる(徳岡明信)
■5月9日(火)
第1試合
各選手が幾度となくぶつかり合う激しい展開になったが、力強い高打点のツモアガリを連発した瀬戸熊が快勝。チームのファイナル初トップを獲得した。
1位 瀬戸熊直樹(TEAM雷電)+65.9
2位 松本吉弘(渋谷ABEMAS)+12.5
3位 松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)▲18.8
4位 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)▲59.6
【観戦記】
雷電にファイナル初勝利をもたらしたのは 卓上に魂をBETできる男、瀬戸熊直樹!(ZERO / 沖中祐也)
第2試合
滝沢が南1局の親番で倍満をツモって他3者を大きく突き放すと、その後も攻め手を緩めず、終わってみれば8万点近い特大トップを獲得、一気にチームのポイントを巻き返すことに成功した。
1位 滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)+99.1
2位 二階堂瑠美(EX風林火山)▲4.9
3位 多井隆晴(渋谷ABEMAS)▲31.9
4位 黒沢咲(TEAM雷電)▲62.3
【観戦記】
タッキーがパパの代わりにトップ取ったよ(越野智紀)
■5月11日(木)
第1試合
鋭い読み合い、激しい競り合いが繰り広げられた一戦は、最後に白鳥がアガり切ってトップを獲得。この勝利で、ABEMASがファイナルで初めて首位に立つことになった。
1位 白鳥翔(渋谷ABEMAS)+56.3
2位 萩原聖人(TEAM雷電)+11.9
3位 勝又健志(EX風林火山)▲21.7
4位 滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)▲46.5
【観戦記】
七対子か、七対子以外か(ゆうせー)
第2試合
松本が東2局の親番でハネ満をツモって大量加点に成功するが、各者の猛追を受け、競りの状況でオーラスを迎える。最後は勝又の親リーチをしのぎ切ってトップとなり、チームの同日連勝を決めた。この日がファイナル初出場、連闘となった勝又だったが、3着4着と厳しい1日となった。
1位 松本吉弘(渋谷ABEMAS)+52.6
2位 高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)+6.6
3位 瀬戸熊直樹(TEAM雷電)▲16.1
4位 勝又健志(EX風林火山)▲43.1
【観戦記】
悲願へ向けて突き進め 松本吉弘、周り道の先にある勝利の栄光(東川亮)
■5月12日(金)
第1試合
寿人と白鳥が激しくしのぎを削る展開のオーラスとなった試合は、寿人が制してトップを獲得。前日からの連続出場となった白鳥は、トップこそ逃したものの2着をキープし、チームポイントの上積みに成功している。
1位 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)+59.2
2位 白鳥翔(渋谷ABEMAS)+12.1
3位 黒沢咲(TEAM雷電)▲16.2
4位 松ヶ瀬隆弥(EX風林火山)▲55.1
【観戦記】
誰もが目を奪われてく、君は完璧で究極の……(渡邉浩史郎)
第2試合
伊達がリードして試合を進める展開となっていたが、本田が南3局の親番で倍満をツモって一気に逆転し、自身のファイナル初トップを獲得した。松本がしぶとく粘って2着を確保、亜樹は大きなラスとなり、風林火山はこの日連敗となってしまった。
1位 本田朋広(TEAM雷電)+73.0
2位 松本吉弘(渋谷ABEMAS)+12.9
3位 伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)▲7.7
4位 二階堂亜樹(EX風林火山)▲78.2
【観戦記】
轟(とどろ)いた8000オール 本田朋広が切り開く TEAM雷電 最高の笑顔への道(後藤哲冶)
■ピックアップMリーグ
多井隆晴の人知れぬ感情 雄弁なる男の、寡黙な一面【須田良規のMリーグ2022-23セレクト・5月9日】
多井隆晴が3着に終わった試合だが、それは多井の類いまれなる守備力でもたらされたものだった。一切の甘えを許さない、強者が勝つための思考に触れている。
河野直也が選ぶ『Mリーガー究極の決断』〜強さの証明〜仲林圭編
セミファイナル最終盤、厳しい状況ながら紙一重の選択で放銃を回避し、見事にアガリをもぎ取った仲林の手順や思考が解説されている。
■5/8-5/12の結果
渋谷ABEMASが、白鳥翔・松本吉弘の活躍で週の後半に大きくポイントを伸ばし、初優勝へと前進。KONAMI麻雀格闘倶楽部・TEAM雷電も金曜日の試合でトップを獲得、ABEMAS追撃ムードが高まっている。風林火山はファイナルの前半8試合でトップがなく、ポイントはマイナス域に転落。極めて厳しい状況となった。
■5/15-5/19の注目ポイント
ファイナルは全ての試合が直接対決とあって、現状首位のABEMASと言えど、決して安泰ではない。試合数が減っていくに従って、ポイント差によってはある程度選択肢に幅を持てるところも出てくるなど、リードしているほうが有利なことは紛れもない事実だが、追われる苦しさがあるのも確かだ。残り8試合、果たしてどんなドラマが生まれるのか。最後まで見逃せない。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。