轟いた8000オール
本田朋広が切り開く
TEAM雷電最高の笑顔への道
文・後藤哲冶【金曜担当ライター】2023年5月13日
306.9pt。
それが、雷電に所属する本田朋広が今年のレギュラーシーズンで積み上げたプラスポイント。
シーズンMVPにこそ届かなかったものの、その大きすぎるプラスはTEAM 雷電初のファイナル進出に大きく貢献している。
去年からのMリーグファンの方であればご存知だとは思うが、去年雷電の起爆剤として期待されドラフト指名を受けた本田は、そのデビュー年で辛酸を舐めることになった。
チームは過去ワーストとなる-1256.1pt。
自身の成績も-300超え。
だからこそ、今年に懸ける想いは並々ならないものがあっただろう。
麻雀スタイルも去年のチームの色に寄った面前主体のものから、積極的に副露を駆使する形に変化している。
いや、むしろこれこそが本田本来のスタイルなのかもしれない。
そうして本来の力を遺憾なく発揮して今年のレギュラーで大きくプラスポイントを稼いだ本田。
しかし迎えたセミファイナルシーズンでは、トップこそ獲得したものの、成績はチームでは唯一のマイナスとなってしまった。
もちろん、レギュラーで大活躍をした本田が、どれだけ不調だろうと責めるような声は出ないだろう。
だが本人は、セミファイナルでチームメイトに助けられたからこそ、このファイナルこそは自分で決めたいという想いが強いはず。
狙うは優勝ただ一つ。
ユニバースの想いを背負って、本田がファイナル前半戦最後の半荘へ赴く。
5月12日 第2試合
東家 伊達朱里紗 (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家 二階堂亜樹 (EX風林火山)
西家 本田朋広 (TEAM雷電)
北家 松本吉弘 (渋谷ABEMAS)
東1局1本場、先制パンチを放ったのは格闘倶楽部・伊達だった。
伊達はこの形からダブのポン。
今でこそダブのみの2900点だが、この局のドラは。
1枚引けばすぐに5800。
を引くよりも先に僥倖のを引いてのテンパイ。
そして伊達は更にここから
を引いて待ちの12000へ早変わり。
東1局から超勝負手のテンパイを入れる事に成功する。
終盤に差し掛かり、困ったのは南家に座る亜樹だ。
親の伊達に対して対応していた亜樹だったが、回っている内に三暗刻のテンパイを組むことに成功。
これをダマにしたが、持ってきたは危険牌。
立体図で確認してみよう。
直前に伊達がを手出ししてきている。
それもかなり迷いなく打ち出してきた。
「スライドに見えてるかもしれない」
この日解説を務めたKADOKAWAサクラナイツの岡田紗佳選手と渋川難波選手がそう口にした。
そう、このは亜樹目線ではかなりスライドに見える。
このは亜樹が3枚持っている牌であり、伊達が複数枚から切っている牌ではないのが確定。
当たるとすれば今の形からを引き入れての打pだが、伊達の序盤の切り出しが、強い浮き牌のやを切り出し、のターツを払っていることから、十分形が出てくることが多く、カンが残っているケースがあまり想定できない。(4枚目を引き入れてのはレアケース)
仮にスライドであるならば、このは通るケースがかなり増える。567という形が手の内にあることが確定し、伊達が7巡目にを切っていることから、3枚以上のを伊達が手の内に持っていた時にしか、このは当たらないのだ。
結果、打ち出されたが、伊達に捕まってしまう。
伊達の形はから更にを引き入れてのスライドだった。
伊達にとってみれば大きすぎる18000の加点。
第2試合は東1局から大きな点棒移動が起こる展開となった。