轟(とどろ)いた8000オール 本田朋広が切り開く TEAM雷電 最高の笑顔への道【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5/12】担当記者:後藤哲冶

逆に大きな失点となってしまった亜樹だったが、続く東1局2本場すぐに点棒を取り戻すことに成功する。

【南】を引き入れてテンパイした亜樹。
【中】を重ねればかなりの大物手になる上に、ピンズはなにを引き入れても手が進むので、点棒が減ったことも相まって【6マン】【7マン】を払ってホンイツへ向かう打ち手も多そうなシーンだが。

亜樹はシンプルにリーチとした。
【南】が役牌でこのままでもツモって1300.2600あること、まだ東1局であること。
大きな失点となっても尚、亜樹は慌てていない。

これをツモアガって裏を1枚乗せての2000、4000。
ホンイツに向かってリーチを打っていなかったら伊達に大物手をアガられていた未来もあったかもしれない故に、これは大きなアガリとなった。

続く東2局

本田が【6マン】を引き入れて4対子になった。
【南】がドラで、本田は南家。重なった時のメンツ手も見るのであれば、【1ソウ】を切ってチートイツとメンツ手を保留することができるが。

ここは打【7マン】チートイツに狙いを絞った。
価値あるチートイツドラドラの手だけ零さず、【南】が出ていくようなメンツ手を嫌った形。
この思い切りの良さが、今季絶好調だった本田の強み。

11巡目に先制テンパイ。2枚切れだった【白】を重ねて、ドラ単騎のテンパイだ。
親の亜樹がドラの【南】を切っており、他家からも比較的出やすい状態。
ここはダマもあるかと思われたが。

本田の選択はリーチ。
6400の出アガリではなく、跳満のツモを狙った強気のリーチだ。

狙い通り2枚山にあった本田のこのリーチだったが、終盤までもつれてしまう。
残りツモ番1回の状態で本田が切った【赤5ソウ】を、松本がチー。
この【赤5ソウ】を鳴けば、本田のハイテイを消すことができ、更に自身は安全な【2ソウ】ハイテイの手番に切って、【2ピン】周りを引けばテンパイまで取れる可能性もある。

松本からすれば、当然のチー。
しかしこのチーが、運命を大きく変える。

く、食い流れたー!
うわー!

松本がずらしたハイテイにいたのは、本田のアガリ牌である【南】
海の底に転がっていた本田の跳満は、泡沫に消えてしまった。

本田の1人テンパイで流局。
そのテンパイ形を確認した松本は――

「あっぶねー……」と、流石に思っただろうか。
関係ない話で申し訳ないが、私個人は食い流れたことで騒ぎたい派の人間です。

その後更に2度の流局を挟み、供託も4本に膨れ上がった状態で、東4局3本場を迎える。

本田はこの形から打【9ソウ】
タンヤオへの仕掛けを強く見た一打。
手牌の安全度は落ちるが、そうしてでも本田はアガリへのルートを零さないことを重視した。

それでもなかなか本田がテンパイへたどり着けない間に、先制のテンパイを入れたのはトップ目の伊達。
【赤5マン】を引き入れてピンフ赤のこのテンパイをダマに構えると。

直後に亜樹から【8ソウ】が出て2000は2900に供託4本で6900の加点。

トップ目である伊達からすれば当然のダマテンだったかもしれない。
実際に解説席の2人もおそらくダマにすると言っていたため違和感は無かった。
もちろん、供託が多くアガリの価値が高いから和了率を最大に引き上げるダマ選択、は理解できる。
が、伊達は最後に【赤5マン】を引き入れてピンフドラ1になった。

ピンフドラ1はリーチしての打点上昇率がかなり大きい手格好であり、通常時ならリーチがかなり有利になる。
供託が多いということは相手もアガリの価値が高く押しやすいということでもあり、和了率が普段のリーチよりも下がらない。

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