麻雀最強戦2021北海道最強位決定戦、観戦記事【文・千嶋辰治】

麻雀最強戦2020 北海道最強位の千嶋です。

この度、今年の北海道最強位決定戦をご紹介できることになりました。
私は予選で負けてしまいまして、本来であれば偉そうなことを書ける立場ではないのですが…新たな北海道最強位へのエールとしてお読みいただければ幸いです。

北海道はでっかいどう。

何を言い出すんだ?
と思われたかもしれませんが、北海道は本当に面積が大きく、険しい大雪山系の山々で地域が大きく分断されていることから、同県とはいえ地域によって生活様式や文化のコントラストは実に鮮やかです。

 

これは麻雀においても同様で、地域によって、打ち手の思想(スピード派か打点派か、門前派か仕掛け派か)や、その思想を育む麻雀文化がそれぞれ違うのが北海道の特色かなと思います。

決勝に勝ち残ったのは、この舞台の会場店であるハートランド札幌店代表の山上大介、苫小牧COLORS代表の本間洋平、そして北見麻雀サロン・スリーピースの岡田一馬と高屋敷(たかやしき)愛智 (敬称略)。

まさに、北海道各地の麻雀に対する思想と文化、そして地域のプライドがバッチバチにぶつかり合う名勝負になったと思います。

岡田のチー

まずは東2局。ドラは【7ソウ】
岡田-高屋敷の北見勢で全面戦争が勃発します。
先手を取ったのは高屋敷。
配牌から暗刻にしていた【白】と押し寄せる好ツモを捕まえて4巡目にテンパイ一番乗り。

 

この形、最近のトレンドは打【6マン】でリーチが主流なのでしょうか?あるいは、同巡に上家から切り出されたカン【3マン】をチーしてこの局を捌きに行く打ち手もいるかもしれませんが、高屋敷は打【2マン】でヤミテンを選択。
テンパイ直前に待ち牌になる可能性のあった【3マン】が切られていることにあまり良い印象を持っていなかったのか、それともマンズの上を引いて良型を目指したか…いずれにしても、即リーチは打たず。

その後高屋敷は2巡回してツモ切りリーチと出て場を制圧しに行きますが、ここで嚙みついたのが同じ北見からやってきた親の岡田。

ツモ切りリーチに来たということは、何らかの理由で手替わりを期待していたか、ロン牌のありかを探るために様子を見ていたか。手が高ければヤミテンでそのまま押す可能性が高いこともあって、このケースのツモ切りリーチは、愚形の手替わり待ちを諦めてリーチを放ってきたように私は考えます。
だから、宣言牌が手出しの場合よりも少しだけ押しやすいかな?という読みを私だったら入れそうです。

しかしながら、半荘1回しかない決勝戦。まだ序盤ということもあり、勝負所を先延ばしにしてひとまずここは様子をみる打ち手が大半でしょう。私もそうします。

が、岡田は間髪を入れずに宣言牌の【4ピン】をチーして打【2マン】

場にピンズが高そうだということを差し引いても、この形で両面チーから手をぶつけに行くという発想はなかなか刺激的。
予選で私は岡田と同卓しましたが、徹底的に一発消しを入れる「相手の嫌なことは全部やる」というタイプの打ち手ではない。

すると、前に出た動機はただ一つ。
ここは勝負所と見定めた覚悟と、自分の嗅覚にとても自信があるのだろうと見受けられます。

その後、高屋敷の【8ソウ】をチーして【9マン】を勝負。

高屋敷の現物であるドラ単騎に取りますが、ここには和了が無さそうと見て、次巡引いてきた【4マン】単騎に受け替えました。

岡田はその後ツモってきた【2ピン】を勝負して【4マン】単騎続行、ほどなく高屋敷から【4マン】がこぼれてきてこの局を制し、タンヤオ三色ドラ1の5,800点プラスリーチ供託1,000点を高屋敷から召し取ります。

解説の喜多清貴プロ(日本プロ麻雀連盟北海道本部長)曰く、


「麻雀は文化の戦い。僕なら生まれ変わっても和了れない。そういう文化圏に身を置いたことがないからそういう発想はなかった。」
とのこと。
長年、北海道の最強戦シーンを見続けてきた同氏にあっても、この和了はただただ感心するばかりだったようです。

山上と岡田の名プレー

そして、場面は進んで南3局2本場。
近年稀にみる素晴らしいハイレベルな決勝戦を象徴するシーンです。

苫小牧COLORS代表 本間が500オール→2,600は2,700オールと、土壇場で和了を重ねて逆転に成功し、更なる加点に走ります。

この手格好1巡目の【發】をポン。ドラ【5マン】を1枚持っていますが、かなり遠い仕掛け。
本間の心中を察するに、これまでの岡田の攻め味の鋭さや、いまだ鳴りを潜めたままではあるものの、山上の強烈なプレッシャーなど、とにかく一筋縄ではいかない難しさを感じているのだと思います。

本間の選択は、とにかく先手を取ること。
仕掛けて手牌が短くなっても、いずれにしてもトップを取り切る戦いなのですが、背水の陣で上等、ということなのでしょう。

その後、がむしゃらに3フーロして思惑通り一番乗りで【3マン】【6マン】テンパイを入れます。

そして、オーラスに現実的な条件を残しておきたい山上が、1巡目に岡田から放たれたダブ【南】に仕掛けを入れて、本間の親を落としに行きますが、こちらもなんとも遠い仕掛け。

 

しかし、どこかでこの親を落とさなければ勝負が決してしまうかもしれません。
前がかりになることは、悪いことではないように私は思います。

と、親の本間に【3マン】【6マン】テンパイが入ったあと、山上がこの形。

本間の仕掛けが直線的で、出るポン見るチー状態で3フーロまでやってきたので、手の値段と待ちは限定的で読みやすいとは言いながら、自らも和了にかけたい山上としては、【3マン】をここで切って本間に放銃するシーンは咎められません。

しかし、山上は【8マン】をツモ切り。
【8マン】も通っているわけではありませんが、ドラのまたぎになる【3マン】【6マン】はピタリと止めて見せます。
そして、本間から【6ピン】をチーしてピンズのホンイチに向かいますが、今度は【7マン】を引いて手が止まります。

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