【西原理恵子 & 山崎一夫】昔のヤクザたちは、どこに行ったのか…

昔のヤクザたちは
どこに行ったのか

パチンコや麻雀業界で、ヤクザを見かけなくって久しい。
私の店では、それらしき人が来たら、知らせるように言ってあるんですが、もう何年も連絡がありません。

雀荘の業界団体でも、こうした情報は共有しており、やはりほとんど無い。
たまにあっても連絡を取り合い、店に入れないようにしています。業界の努力だけでなく、当局の指導と応援もあります。

●反社会的勢力を店に入れてはいけない。
●未成年者を入れない。
●就労許可の無い外国人を雇わない。
●「みかじめ料は必ず断ってください。警察の厳しい指導だと言ってもかまいません」などです。

かつてはパチンコ店の出店には裏で大金が動いてましたが、今はほとんど無い。

ただし、大昔からの付き合いが切れなくて、小さな規模で続いているのは聞きます。
ある老舗のパチンコ店の近くで、他店のチラシ撒きをしていたら、

「もっと遠くでやれ」

と、それらしき人物に凄まれたとか。
こんなことを依頼する経営者は今どきいないので、おそらく縁を切られないように、勝手にやってるんでしょう。

さて、あい変らずの昔話ですが、私のギャンブルライターとしての長年の疑問が最近YouTubeで解けました。

ずいぶん前のことですが、高田馬場のバラ打ち(フリー雀荘)の店で、コテさんというずんぐりむっくりのヤクザが遊んでました。

あだ名の由来は、「小手返しかコッテ牛じゃないの」と噂されてましたが、単に小手川さんなのかもしれません。
ヤクザと言っても、九州は小倉で不義理をし、女を担いで逃げて来たと言っており、それが本当なら現役では無い。

「女はトルコ風呂に沈めてある」

と言って毎日というか連日徹夜続きで遊んでました。

「俺らは不動産は持てないから、換金性の高い動産の女が大事」

とも。

「おい、今のは行儀が悪いだろ」

普段は柔和な笑顔ですが、口ジャミセンや手ジャミを指摘する時は、下から睨め上げるようにして迫力があります。
ある時からコテさんがまったく顔を出さなくなったので、バラ打ち仲間を心配していました。

「追っ手にやられたんじゃないの」

「俺貸しがあるんだよな」

「こっちもだ」

どっちかというとお金の心配ですけど。
久しぶりにコテさんが現れたので理由を聞いてみました。

「地元に帰ってタブ賭博で稼いできた」

と目を輝かせます。

タブというのは主に九州の博打で、サイコロをザルやスリ鉢に投げ入れて、出目を競うものです。

 

「女が仕事から帰って来るまで、手なぐさみに1人でタブで遊んでいたら、思い通りに目が座るようになったんよ」

「ホントですか」

「地元に飛んで帰って、そりゃ荒稼ぎよ。危なくなったんで、また逃げてきた」

私は半信半疑というか、一信九疑くらいだったんですが、さらに詳しくサイコロの振り方などの話を聞いていると、半信半疑方向にメーターが触れました。

 

パチンコの攻略法だって、最初は誰も信じないようなことから始まってますからね。
コテさんはまた来なくなり、その後は行方知れずで今に至ってます。

それからしばらくして、私はパチンコの仕事で九州に毎月行くようになり、例のタブ賭博のことを調べてみようと思い小倉に行きました。

「タブの取材をしたいんですけど」

行き当たりばったりでと聞いてみました。

知らない人が多かったんですが、白髪頭でずんぐりむっくりで、一見コテさんみたいな風貌のタクシードライバーが教えてくれました。

「昔はようやったもんよ。今じゃ川筋者くらいしかやるまい」

川筋者というのは筑豊地方の荒くれものを指すようです。

「素人が行くのははやめとけ」

と言われて諦めました。

さらに年月が経ち、最近になってYouTubeに動画があるのを発見しました。(タブの必勝法で検索。up主は牌鬼屋 麻雀 リキさん)
動画を見ると見事にピンゾロが出るではありませんか。

「ピンゾロが出るまで振っただけじゃないの?」

という疑問があるかもしれませんが、動画では技術的に出していることがハッキリ分かります。

 

手積みの麻雀のイカサマに使う置きザイや滑りザイよりもかなり高度です。

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