底知れぬ目の奥にあるもの〜
筆者が感じた下石戟の強さについて
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2026年1月9日
去る11月22日。
それまで私は下石に対してあまり好意的な印象がなかった。
理由は下石の対局中の表情だ。
この鬼気迫る表情が、底の見えない恐ろしさを秘めているような気がしてならなかったからだ。
しかし、タイトル戦の本戦という場所で対戦してみて、その印象はまるで見当違いだったことがわかった。
タイトル戦はプロにとって己の存在を証明するための大事な場所だ。
勝つか負けるか。
それ以外のことは必要がない。
だから、人によっては気が立っていたり感情をあらわにしたりすることだってあるだろう。
その真剣勝負の場において、下石の振る舞いは実に清々しいものだった。
私を含めてアマチュアが2人入った卓だったが、下石は下家に座る年配のアマチュアに対して非常にきめ細やかな気遣いを見せた。
手が震えて推牌(トイパイ〜他家がツモりやすいように壁牌を前に出すこと)が出来ない様子を見るや他家が取りやすいように気を配り、アガリ点の申告が違えば優しく指摘をして卓の空気が悪くならないような配慮を見せた。
タイトル戦は、自分のことに目一杯であっても良い場所。
しかし、下石は「プロフェッショナル」に徹していた。
私はその姿に深く感銘を受けた。
「フォローいただきありがとうございました。」
私が感激のあまり述べた言葉にも
「いえ…。」
と、当然のことなので、という返事。
そんな下石の姿には「余裕」が感じられた。
その余裕の源は何か?
それは、揺るぎない「強さ」に裏付けられた自信だろう。
その「強さ」の一端が垣間見られたのが今夜のゲームではなかったか。
第1試合
東家:下石戟(BEAST X)
南家:本田朋広(TEAM雷電)
西家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
北家:石井一馬(EARTH JETS)
本田の先制攻撃から松本の満貫ツモと荒れ模様の立ち上がり。
二人が先行する格好で迎えた東3局。ドラは
。
ドラ2のチャンスが来た下石。
この配牌を、
わずか6巡で一気通貫のテンパイに仕上げた。
出アガリ満貫、ツモってハネ満の大物手。
下石はそっとヤミテンにして息を殺す。
親の松本から直後にリーチが飛んでくるが、
下石は無筋の
をわずかな間を置きつつツモ切った。
私が下石の強さを感じたのは、この一打を切る佇まいだった。
親リーチの一発目。
自らも勝負の手を入れている場面なので、無筋を通す際はわずかでも力が入りそうなものだが、下石に力みが感じられなかった。















