底知れぬ目の奥にあるもの〜筆者が感じた下石戟の強さについて【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 1/9 第1試合(麻雀チャンネル)】担当記者 千嶋辰治

私が下石の強さを感じたのは、この一打を切る佇まいだった。

親リーチの一発目。

自らも勝負の手を入れている場面なので、無筋を通す際はわずかでも力が入りそうなものだが、下石に力みが感じられなかった。

 

きっと、

この結末を信じて疑わなかったからなのだろう。

親リー&愚形なんのその。

ツモ一気通貫ドラ2赤の3,000-6,000のツモアガリで一躍トップに突き抜けた。

 

さらに下石が強さを印象付けたのは南2局

離れた4番手の一馬が7巡目にペン【7マン】でリーチ。

リーチ一気通貫ドラ赤。ツモればハネ満という高打点だ。

 

このリーチに微差のトップ目である下石はどう対応するか?

下石の手牌も勝負の形。

789三色が完成したが、ゆくゆくはドラの【4マン】、あるいはドラまたぎの【6マン】が出ていく手格好になりそう。

ここは一旦【發】を切ってイーシャンテンに構えるが、次巡、

無筋の【7ソウ】をツモった。

ちなみに、この【7ソウ】をえいやっと勝負すると、

親の本田に5,800のテンパイが入るのだが、下石にはもう親番がない。

高打点放銃は致命傷になりかねないことから【8ソウ】を抜く。

だが、これにより【7ソウ】が切られない格好に。

本田が苦しくなった。

 

2巡後。

下石の手にはション牌の【白】

ひとまず【9ソウ】を切ってイーシャンテンは維持できているが、次に危険牌を持ってきたら出ていくのは【8ピン】や中スジの【6ピン】あたりでオリに回らされそう。

危険牌ではなかったが【6ソウ】ツモでテンパイした下石。

一手替わりでタンヤオピンフを絡めた高打点テンパイに化けるが、

ここはあっさり【8ピン】を抜いてイーシャンテン戻し。

 

リーチと仕掛けの両者に対して【白】をケアした下石だったが、

無情にも【白】を切っていたらツモアガリになっていた【5マン】が下石の手に。

即座にその表情をカメラが抜いたが、いささかの悔恨の情も滲ませていないように見える。

それならと思い直し、【白】を叩き切ってフリテンに…という向きはあろう。

それならば、なぜあの時に【白】を切らなかったのか?という自己矛盾には陥らない下石。

切れんものは切れんのだ、と打【7ピン】としてもう一度回ってみせた。

 

あくまで切れない【白】

手の中で大切に抱えたそれが、輝きを増す。

山に3枚眠っているうちの1枚が下石の手に。

そして、この手にアガリがあることを悟ったか、長考の末にリーチを放った。

 

下石が未来を感じたとおり、この手はアガれた。

しかし、フィニッシュは【白】ではない。

リーチの直後、硬直状態にあった本田の手がわずかに広がりを見せた。

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