近藤誠一、夢芝居最終章開幕
高打点の花を咲かせ、
目指すは8月6日の千秋楽
2023年6月19日E卓 文・東川亮
5月25日、麻雀界・Mリーグファンの間に衝撃が走った。
【セガサミーフェニックス 近藤誠一選手 Mリーグ勇退のご報告】
この度、セガサミーフェニックス所属の #近藤誠一 選手がMリーグ2022-23シーズンを持ちまして、Mリーガーとして勇退することが決まりましたので、ご報告させていただきます。
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— セガサミーフェニックス (@SEGASAMMY_PNX) May 25, 2023
セガサミーフェニックス・近藤誠一、Mリーグ勇退。
体調不良が改善されず、万全の状態で長いシーズンを闘うことが難しいという理由だった。
同時に発表された新監督就任に対する安堵や歓迎の声も多かったが、やはり近藤誠一という巨星が選手として退くことには、寂しさを禁じ得ない。
そんな近藤にとって、Mリーガーとしての最後の雄姿を見せる場となるのが、「Mトーナメント2023」。
2人勝ち上がりのトーナメント、負ければその試合が「Mリーガー・近藤誠一」の引退試合となる。だが裏を返せば、勝てば最後の戦いは続くのだ。
さあ行こう、5年間慣れ親しんだあの舞台へ。
近藤誠一・夢芝居、最終公演開幕。
■第1試合「切れ味と老練さ、近藤誠一はいまだ健在なり」
東2局、近藤にチャンス手が入る。自風のを暗槓し、次巡に待ちテンパイ。
このままでもドラドラで役があり、テンパネして満貫の手だが、もう一つ暗刻ができれば四暗刻のテンパイになる。
出アガリが利くのでダマテンを選択。
先にリーチをかけたのは瀬戸熊。第1打からの待ちはかなり盲点になる待ちだ。
ただ、瀬戸熊の捨て牌に近藤のロン牌があり、現物を追った相手から近藤が討ち取ることもできそう。
近藤は形を崩さず、無スジの2sを押しながら様子を見ていたがは切られない。
もとよりオリる手ではない。山に残っている可能性も考え、勝負のツモ切りリーチをかけた。
一発目、振り下ろす左手の先に。
アガリ牌のがあった。一発はもちろん偶然なのだが、それを偶然と感じさせない雰囲気をまとうのが、勝つときの近藤誠一である。
リーチ一発ツモドラドラ裏の3000-6000、勝ち上がりに向けて、まずは一歩前進する。
南3局には堀のリーチに受けを変えてまわりながらも、ドラをツモって4000オール。抜けたトップ目に立つ。
南3局では堀と瀬戸熊の2軒リーチに挟まれ、瀬戸熊の現物を切って堀に5200は5500を放銃。
もちろん放銃はしたくはないが、あえてどちらが嫌かといえば、やはり現状2番手の瀬戸熊である。
また、堀に中打点から満貫クラスを放銃したとしても、そのときは自分以外の3者が2万点前後で競りになり、特に山脇、瀬戸熊の2人は2位で初戦を終えるために早アガリで堀の親を蹴ってくれることが期待できる。
放銃までも都合のよい形で進め、このゲームは近藤ペースのまま終わるかに思われた。
だが、オーラスの親番で堀が粘る。小さいアガリを積み重ねて連荘すると、南4局3本場でタンヤオドラ赤の2000は2300オールをツモ、ついに近藤を逆転。
2戦勝負のトーナメントで、初戦で勝った際の突破率90パーセント台後半と極めて高いことは、これまでの放送で紹介済み。近藤も堀も、何が何でもトップが欲しい。
次局、堀はポン、カンチーと、積極的に仕掛ける。
まだまだ手の内や苦しいが、役としてはチャンタやホンイツを見つつ、この局のドラがであることを踏まえて相手が警戒すれば自分が手を組む時間が生まれる、という計算もあるだろう。
しかしこの局は近藤の手がまとまっていた。を鳴き、少し時間はかかったが待ちでテンパイ。
ただ、タンヤオ仕掛けを入れていた山脇に対してを止めると、を引かされて一歩後退。
放銃の可能性が高そうな牌は打たない。この段階で、近藤のアガリは厳しそうに見えた。
堀がを止めて切り。
を見せると相手の警戒が薄れてしまうこと、自身の打点の種にもなるからだが、前巡の手出しと合わせると、マンズのホンイツにしては捨て牌がおかしい。
そこへ、後がない瀬戸熊がリーチ。
近藤は、堀の動向も踏まえて瀬戸熊の現物を切ると、
山脇の切ったをポンして一発消し、瀬戸熊のツモ番を飛ばすと共にフリテンながらテンパイ復活。このポンは鋭い。