ゼウス流ドラゴン桜、
勝ちたい奴は記念受験しろ
文・越野智紀【火曜担当ライター】2022年 11月 15日
第2試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
北家:二階堂瑠美(EX風林火山)
「普通だったでしょ?」
独特のアガリについて聞かれ、笑いながら答えるたろう選手。
全員から「どこが!」と突っ込まれそうなところでしたが、この回答の意味はボケただけでは無さそうです。
たろう選手の根底からは「ゲームを楽しむ」という信念を強く感じとれます。
もし何も制限を加え無ければ「楽しむ」ことに邁進する怪物が生まれてくるのですが、そこに「麻雀に勝つ為」という縛りを足したことで誕生したのが創造的能力を持つゼウス。
華のある麻雀は時としては真剣勝負の場には合っていないと揶揄されますが、
冒頭の「普通だったでしょ?」には「他の人と同様に得だと思うことをやってるだけですよ」という麻雀プロとしての矜持を感じました。
東1局。
親の松本選手のドラポンと
瑞原選手からのリーチを受けたたろう選手は雀頭の無いリャンメンとカンチャンのイーシャンテンで現物は…
と、悩むことなくツモ切り。
どうせ切る牌はスパッと切るのがゼウス流。
イーシャンテンでもテンパイのような雰囲気で打牌します。
結果は瑞原へ2,600の放銃になりましたが
全然気にしてない御様子。
こういう普通に押すことが、後のアガリ率を上げたりします。
東2局。
を仕掛けた瑞原選手に対し
我先にとを切るたろう選手。
自分の手に不要なは攻撃にも守備にも不向きな牌で、鳴かれても損だが残すのも損。
それならば鳴かれないことに賭けて切った方が良さそうです。
もし親にが鳴かれても西家と北家のツモ番が飛ばされるので、その部分はプラス材料とも言えます。
鳴かれてしまいましたが気にしている暇はありません。
後悔するよりも戦いに備えて情報を収集することのほうが大切だからです。
を加カン後に手出しで切り。
ここで重要な情報が手に入りました。
が全て見えている状況での手出しは単騎待ちからの変化が濃厚で、次点は暗刻からの切りといったところ。
現状は単騎より良い単騎待ちかあたりの亜リャンメンを警戒すれば良さそうなので、たろう選手は浮いているをイーシャンテンからは打たず。
ツモ切りを選択しました。
こういった感じで普段通りに押し引きを選択していくたろう選手でしたが、序盤は瑞原選手のターン。
この局で3,200オールをツモると、続く一本場での選択が秀逸で
苦しい形からを仕掛け
とトイツのフォロー牌を残さず、捨て牌を派手にして相手に警戒させて足止めしながらトイトイを狙います。