『独特の間合い』
時代に逆行する
HIRO柴田
文・中野巧【火曜担当ライター】2025年12月2日
ゲスト先やMリーグが観られる飲食店にいると、Mリーグから麻雀を始めた人、一度離れていたが麻雀熱が再燃した人とよく出会う。麻雀中に対局者の顔をみるのはマナー違反なのだが、始めたての方は自分の選択が正解かどうかわからず不安そうな表情を浮かべていることがある。
はっきり言いたい、麻雀に正解はないので、もっと自由に打つべきなのだ。「アガる」を目的にしたとき、アガリが遠くなる選択はあっても、それは不正解ではない。最近ではNAGAなどAIとの一致度が1種の指標になっているが、指標はあくまで指標であり、正解ではない。
だからMリーグから麻雀を始めた方、これから始める方は自由に切りたい牌を切り、麻雀を心から楽しんでほしいと思う。
今日1試合目にトップを取ったHIRO柴田はインタビューにて「僕は(極端に場が見えているとき以外は)6ブロック進行が好きなんですよ、時代と逆行して」と言っていた。
なぜ時代に逆行しているかというと、現代の麻雀は押し返す手組や1シャンテン時の受け入れ枚数をMAXにする方がよい、という考えが主流になりつつあるからだ。
6ブロック進行では1雀頭、4メンツの5ブロックがアガリ形なのに対して、1つ余剰にターツを持ちながら進行するため、メリットは334から3を先に切ることで2-5待ちになったとき出アガリしやすくなり、リャンメンとカンチャンなどの選択を先延ばしにできる。
デメリットは安牌を持てないので守備が弱くなること、1シャンテンの時に受け入れられる牌をMAXに持てないなどがある。
HIRO君はトップだからいい、じゃないんだよ。オーラスはぬるい!【沢崎誠の「マムシの目」】
レジェンドによるHIRO柴田への辛口記事はこちら
2着の寿人は唯一東3局にアガったハネ満が決勝打となりえたが、最後北家で親番が残っていたHIRO柴田に逆転を許してしまう。
3着の優はここまでMリーグ人生初めての3連続ラス(2連続ラスも初めてという驚異の成績だが)。しかし、いつも通り果敢に攻める戦闘民族も今日は大きい手がアガれずに3着。
4着の下石はいい手が入るも攻めダルマ、戦闘民族と独特なHIROに囲まれ、なかなかアガリに結びつかずに4着。
第1試合
東家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
西家:下石戟(BEAST X)
北家:HIRO柴田(EARTH JETS)
早速、HIRO柴田の6ブロック進行の局にフォーカスしたい。
南1局
トップ目と300点差で迎えた南1局、柴田の手牌はこちら。
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柴田はここから
切り。ドラが
であることから
や
の重なりも逃さまいと
–
のリャンメン(いい形)を決めた。
と
を1つのブロックと見たときに6ブロックどころか8ブロック進行だった。
狙い通り
を重ね、打
。
ここはもうターツがそろったため、
を切っていく。先ほどまで8ブロック進行をしていた人なら
を残すかと思いきや、ここで手の広がりに見切りをつけた。
Mリーグのプチオフショットで滝沢和典が「難しいですね、柴田さんの麻雀を表現するのは。手順が特殊ですね、独特なところにピントがある。ただMリーグにおいてはまだまだわからない」と話すような、独特なピントで手を進めていく。
を引いて打
。ここでも6ブロック進行。ドラの重なりや仕掛けができる
のポンなどを逃さない手順に。トップ目であるから、
をポンしての3900は供託1本と1本場で5200点の加点で十分という判断だ。
ちなみに
をポンできた場合は絶対に![]()
を切っていく。3巡目の
、9巡目の
切りで
–
は読みから外れるからだ。
ドラの
を引き、打
。
裏目のような形になったが、リャンメンより
と
のシャンポンを優先することは難しいので、実際にそこまでショックではない。
すでに親の寿人は
単騎で役ありテンパイ、優からは
–
待ちのリーチがくるも1枚切れの
を使いイーシャンテンをキープしていく。
引きで
–
のテンパイ。
優に通っていない
を勝負する。
は2枚しか見えておらず、ほか二人が優の現物である
をあわせて切っていないことから優が持っているかもと怖さがあるものの、自分がドラ3あり、リスクに見合うと勝負。
この
–
はオリている人や少しでもテンパイを目指そうとして迂回している人がいた場合、
は優に現物で柴田は
、
がかなり早めに切られているためかなり盲点となる。
6ブロック進行のメリットがここで活きる。
結果は先にリーチをしていた優への放銃に。
しかし柴田が残していた
–
が山に一番多く4枚残っており、JETSのサポーター「モンダ民」たちは大いにアガリを期待していた場面だろう。
おまけ
東3局
寿人が下石から12000をアガり、ここで寿人の得意技「高速の点数申告」が発生した。













