優れた読みを持つエース同士の対決　小林剛が仕掛けた細工とは【Mリーグ2021観戦記12／23】担当記者：東川亮

宣言牌を多井がポン、一発を消しつつタンヤオに向かう。赤赤を生かして5800をアガれば、いったん小林を逆転できる。

ただ、最後は勝又が放銃。魚谷はツモれば２着、が自身から4枚見え、も3枚見えということで見逃しも頭をよぎったそうだが、ここは手を倒した。裏は乗らず、魚谷は3着止まりで終わった。

この試合では勝又だけが2度の放銃を記録しているが、一つはリーチ後、一つは逆転が難しい最終局で、少しでも素点を戻そうと攻めの打牌をした結果のものである。10局中3度もハネ満ツモが飛び出した派手な試合において、その道中に見られた、各者の繊細な打ち回しや思惑が印象的な一戦だった。

東川亮（ひがしかわりょう）

さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏（麻雀解説者・Mリーグ審判）との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。