Mリーガー32人、誰の麻雀を解説するのが一番自信ありますか?
という質問をされたら
『丸山奏子』
こう答えるだろう。
レギュラーシーズン最後のコラム。
3月17日の第1試合。
いつもとは少し違う感じになってしまうかもしれないが、最後まで読んでほしい。
残り4戦。
赤坂ドリブンズはセミファイナル進出ボーダーの渋谷ABEMASまで468.2ポイント差。
麻雀は最終戦の最後の親が終わるまでは可能性はなくならない。
しかし、今までの歴史の中で、4戦でこのポイントを逆転したことがあるのだろうか?
それぐらい厳しい状況にいた。
この日の先発は丸山奏子。自身12戦目。
解説は筆者。
筆者は丸山と約3年間ずっと勉強会をしてきている。
実績もない自分に丸山は麻雀を教えて欲しいと。
ドリブンズの選手を除けば間違いなく過ごしてきた時間は一番長いだろう。
そして丸山がただ1人──
今シーズン解説してなかった選手だった。
『直也さんの解説で試合出来るのが楽しみです』
そう言って試合に向かう彼女の背中は3年間見てきた中で一回りも二回りも大きくなっていた。
前局、伊達・内川のリーチに押し切り、700.1300を先制して迎えた東2局。
赤もドラもなく決していい配牌とは言えないが、落としたくない親番。
ただまっすぐ。
自分が信じてきた麻雀を打つ。
3巡目に急所のペンを引き入れ、これで方向性が決まる。
チャンタだ。
さらにを引き入れ4巡目にしてイーシャンテン。
チャンタは鳴かずに仕上げると高打点になるのだが、形が悪く、テンパイするまでに時間がかかることが多い。
この親番は簡単に手放したくない。
丸山はこの時にが出たら鳴くことを決めていた。
伊達がツモ切ったを鳴き、テンパイ一番乗り。
丸山は打点を作るのが大好きな選手。
と同時に放銃を出来るだけしないようにという手組みをする。
その彼女がこのを鳴く。
テンパイではあるが、待ちはペンチャン。
リーチがきたら、この待ちで戦わなきゃならない。
近くで見てきているからこそ、丸山の覚悟を見た鳴きだった。
無情にもすぐさま内川からのピンフ赤赤のリーチが飛んでくる。
この時点では山に3枚、ペンは山に1枚とかなり苦しい勝負となっていた。
大きなトップが欲しい状況にいるドリブンズ。
筆者は昔から丸山に大きなトップを取りたい時には
『親で無理しろ、子で無理するな』
と伝えてきていた。
子で点数を稼ぐにはやはり限度があるが、親を継続していれば、可能性は消えない。
丸山の脳裏にもこの言葉はきっとあっただろう。
安全牌もないからなおさらだが、一発目に引いてきた4pももちろんツモ切り。
『放銃を恐れるな。アガリ逃しを恐れるんだ』
この言葉もずっと伝えてきている。