"ハネ満テンパイも終わりじゃない━━” それは思考を止めない白鳥翔の、意志ある放銃だった【週刊Mリーグ2021セレクト12月20~24日】文・須田良規

元々【5ソウ】【8ソウ】待ちは、あの待ち変えをした瞬間もそうだが、かなり弱いと思っていたわけだ。

つい手拍子で人はカンチャンの形をさばきたくなってしまうものだが、
【6ソウ】【7ソウ】ターツそのものがカンチャンのような弱さであるならば、それを【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】で解消すれば良かったのだ。

そうすれば、白鳥は次巡のツモ【1ソウ】

【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】 チー【5ソウ横向き】【6ソウ】【7ソウ】

になっていた。

この巡目の全体の捨て牌はこう。

手牌は
【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】 チー【5ソウ横向き】【6ソウ】【7ソウ】
として。
【6ソウ】切りの【2ソウ】【5ソウ】【3ソウ】待ちはかなり弱そうなので、【2ソウ】切りの【6ソウ】【9ソウ】【5ソウ】待ちにするだろう。

【1ソウ】【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【6ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】 チー【5ソウ横向き】【6ソウ】【7ソウ】

そしてこの瞬間。

萩原の2枚目の【9ソウ】が間に合って、ハネマンを討ち取れていた格好になる。

このときより白鳥は、自分の鳴き方についての後悔があったわけだ。

しかし、その自分だけが気づいていた、観戦者が思いも寄らなかったミスを取り返すために、
親リーチを受けても闇雲に押すわけではなく、思考を止めず立ち向かったのである。

ミスはもちろん、どんな人間にだってある。
しかしそれを悔やむあまり、まだ勝負の途中で周りが見えなくなってしまうことはないだろうか。

ミスをしてしまったその状況でも、事態を好転させる最善の一手があるかもしれない。

白鳥の果敢な放銃は結果自身の4着を生んでしまったが、
失敗の多い凡庸な私たちに、そこで恥じたり諦めたりしない、強い心の在り方を教えてくれたような気がするのである。

 

※「週刊Мリーグセレクト」は次回以降、不定期掲載になります。

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