"ハネ満テンパイも
終わりじゃない━━”
それは思考を止めない
白鳥翔の、
意志ある放銃だった
文・須田良規 【週刊Мリーグセレクト】2021年12月20日~24日
12月21日(火)の第2試合、渋谷ABEMAS・白鳥翔にこんな放銃シーンがあったのである。
南2局北家の白鳥は、まず10巡目に上家から打たれたをでチー、
そしてすぐ11巡目にツモと来て、待ちチンイツテンパイを果たしていた。
ここに東家のTEAM雷電・萩原聖人からカン待ちの赤ドラ1のリーチ。
この時点で山には0枚だったが──、
南家のEX風林火山・二階堂亜樹から打たれたを白鳥はポンして、
打で待ちへの待ち変えを敢行。
これが萩原への放銃となり、裏も乗って12000という結果になってしまった。
テンパイ形をわざわざ仕掛けて、純カラだった親へのマンガン献上である。
違和感のある視聴者も多かったのではないかと思う。
しかし白鳥は、試合終了後のインタビューで、はっきりこう言った。
「あの待ち変えは、全く後悔していない」
状況を確認してみよう。
亜樹からが打たれた瞬間、は場に3枚。自身の手にが1枚ある。
見た目では4枚残りのだが、が4枚見えているため、
ドラのはどこかに固められている可能性が高いと見える。
一方は見た目では1枚、2枚残っている。
よりは単純に1枚少ない。
ただ親リーチの萩原がを直前に連打したのに誰も合わせ打たないため、
は確実に山に残っていると思われる。
手牌を開けて答え合わせをしてみると、は実際三者に散らばっていたものの、
待ちなら純カラ、待ちなら確かにが2枚山にある。
白鳥はもう親番がなく、トップを狙うなら絶対にこのチンイツは成就させたい。
つまり、これはアガるためならば絶対にポンして待ち変えをしなければならないのだ。
実際は放銃牌ではあったが、共に3枚見え、
萩原も先切りの後トイツ落とし、と
カンになったのは萩原のツモ順と手順の妙だったため、そこまで危険な牌にも見えない。
あのまま純カラ同士の対決で押し続けた痛み分けの流局より──、
白鳥の読みと意志を色濃く映した、素晴らしい放銃だったように思う。
打ち込みが素晴らしいなんて変な話だが、
これは白鳥が、親リーチの現張りハネマンテンパイでも思考を怠らない、
最後まで麻雀に真摯な選手であるという証だからだ。
そして。
この後白鳥が語った、全く別の反省点があった。
私たちもこれは勉強のために、振り返ってみたい。
白鳥はまずこの形で仕掛けをスタートさせた。
ここにが打たれて、のカンチャンでの鳴き。
チー「これをリャンメンので鳴かねばならなかった」
と、局途中ですぐ悔んだという。
チーなるほど。