クリスマスの夜に
放たれた雷電の光
文・越野智紀【金曜担当ライター】2021年12月24日
まだ半分か、もう半分か。
レギュラーシーズンの約半分を消化して、この日の試合前でセミファイナル進出ラインである6位のポイントは18.3。
追いかけるチームにとっては残り試合とポイント差が気になる時期になってきましたが、例年6位のポイントはレギュラーシーズン終了時には相当下がっていきます。
去年は12月終了時点で▲146.5だった6位の成績がレギュラーシーズン終了した段階で▲210.5。
一昨年は▲34.2のところから▲202.3まで下がっていて、セミファイナルを賭けた争いが激しくなる終盤戦では6位や7位のチームがポイントが伸ばしづらい環境となることは予想されます。
▲192.3ポイントの7位で「まだ半分ある」と言えるポイント状況の赤坂ドリブンズは、クリスマス・イヴの第一試合に丸山奏子を起用。
過去2年は10試合ずつの出場と規定回数ギリギリに収まっていましたが、ドリブンズイズムを注入された3年目はここまで7試合に出場してトップ3回と活躍を見せています。
育成枠の殻を破り今年は優勝への戦力として花開く年になるのではと、今日の試合にも期待が高まりましたが蓋を開けてみれば丸山がまさかの不調。
東1局。
生牌のを切って引きからの変化やポン等も見て目一杯に広げるも、
をスルーして次巡に生牌のを引いての切り。
その後、親の岡田にドラのを切られてからは
そしてと危険牌の先切りを選択。
1枚目のをスルーして次巡出た2枚目のをポンの発声後に少考して切り。
ここまでの一連の流れ全てで迷いながらの選択となりました。
攻守のバランスを上手く取ろうと悩み過ぎて、押し引きの決断が一歩遅れていった感じです。
この後も終始迷わされる展開に本領を発揮出来なかった丸山でしたが、それとは対称的だったのがTEAM雷電の黒沢咲。
チームは▲581.4の8位で6位と約600ポイントも離され、残り試合が「もう半分しかない」といった苦しい状況。
一人で追いつくのが厳しいと考えた黒沢は迷わず我が道を進んでチーム全体が盛り上がるようなトップを目指しました。
子と親で1回ずつ満貫をツモアガってリードして迎えた南1局。
2枚目のも余裕のスルーの黒沢。
これが全選手の中で一番低い副露率9%という麻雀を見せると
丸山からの6巡目リーチに対し、2枚ともスルーしたを筆頭に溢れるほどの安全牌。
ラス目で点数が欲しそうな丸山がリーチ前にドラを切っていたこともあり、安くて愚形といった弱いリーチの可能性が相当低そうなこともあり
これは悠々自適のベタ降りライフのスタートで高みの見物かと思いきや、リーチ1巡前に切られたドラのを見てを軽めに押しました。
黒沢は次巡テンパイが入り、リーチのみの手で丸山と勝負。
試合後のインタビューで「岡田さんの親を流せればトップに近づく」と、このリーチの狙いを語っていましたが
やや危険と評価されそうな丸山のリーチに対してメンゼン高打点の印象のある黒沢がトップ目からリーチを被せたことで、どちらのリーチも危険に見えた親の岡田はイーシャンテンから押すのが割に合わないと受けを選択。
黒沢がイメージをした展開になりました。
もし黒沢が受けて丸山の1軒リーチなら、岡田はと押して
ツモこの形でアガリになっていた可能性は相当高く、岡田に冷静な押し引き判断を強要した黒沢の作戦が成功した形となりました。
岡田の親が流れて南2局。
のトイツに不満そうな黒沢は
タンヤオのイーシャンテンで親の高宮から出たを
涼しい顔でスルー… っていうかを全然見てない様子。
スルーしたを元々持って無かったかのようにトイツ落としすると、メンゼンチンイツのテンパイまで手が伸びていきます。
を切れば待ちでを切ればカン待ち。