勝つべくして
勝つべき男が勝った
最速最強を1半荘で証明した
多井隆晴の決意
【決勝卓】担当記者:ZERO 2020年12月13日(日)
プロローグ
「最強」を決める戦いは半荘何回が妥当だろうか。
4回?20回?
ーーいいや、引き伸ばしても薄くなるだけ。
1回で十分だ。
キーボードを打つ手がかじかむ。
今年も最強戦ファイナルの季節がやってきた。
この1年間、カクテルライトが交錯する決勝卓までどれだけの打ち手が肩を落とし、うなだれ、悔し涙を流してきたのだろう。
印象的だったのは準決勝での堀江貴文だ。
オーラス、難しい条件の中ホリエモンは1分半考え込みリーチを打つ↓
三浦との親リーチの打ち合いの中、裏ドラ条件となる牌が出るも
悠然と見逃してツモに祈りを捧げた。
私は麻雀界で1番ホリエモンに詳しいかもしれない。
しかし、その私もここまで真剣な表情のホリエモンは初めて見る。
「秒で動け」が口癖の男がここ一番で深く考え込んでいる。
富と名声を欲しいがままにした男が、勝負の世界に没頭している。
「最強」の称号は、これほどまでに打ち手たちを魅了するものなのか。
決勝卓
東家 多井隆晴
南家 新井啓文
西家 井上絵美子
北家 本田朋広
東1局 新井の高打点思考
開局、新井はこの手をダマテンに構えた。↓
待ち。
なら・三暗刻の6400だが、だと1600にしかならない。
ダマテンの理由は多井の親を落とすため?
待ち頃の単騎を探すため?
いいや、違う。
新井はいきなり訪れたこのチャンス手を前に、勝負局と認定した。
ならアガるが、瞬間が出ても見逃していたはずだ。
この手牌は最大で役満まで狙える。
かをツモっての三暗刻確定、そこから四暗刻に渡ることができるのだ。↓
待ちでダマテンに構えていると、親の多井からリーチが入る。
それを受けた新井は、をツモ切ってダマテン維持。↓
が多井の捨て牌にあるからだろう。
このままダマテンで潜航するのかな…と思いきや新井は次巡、
リーチに踏み切った!
この選択には2つの理由がある。
1つ目は親リーチに通っていないと連打したことで、現物待ちとはいえ警戒されてしまうこと。もう1つは、持っていればすぐに出そうなが出ない→が山にいると踏んだこと。
新井はこの2点から、これ以上の待ちはないとみて、リーチで満貫、ハネ満の高打点を狙いにいったのだ。
役満まで見据え、見逃し込みでのダマテン判断。
リーチを受けて1巡回しツモ切り追っかけ。