今シーズン初の女性対決
魚谷侑未、勝負を決めた一気の差し足
文・東川亮【月曜代打ライター】2023年12月11日
大和証券Mリーグ、12月11日の第1試合は、今シーズンで初めてとなる、女性選手4名による対決。
麻雀は性差があるゲームではなく、女性だからといって麻雀の内容が変わるわけではないが、やはり画面は華やかに感じる。そして試合は全9局とコンパクトながら全ての局でアガリが生まれるぶつかり合いとなった。そのなかから今回は、各者に選択があったラスト2局を取り上げていく。
第1試合
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:中田花奈(BEAST Japanext)
南3局を迎えた時点の点数状況。
瑞原がやや抜けたトップ目にいるがまだまだ安全圏とは言えず、下位2人はどちらも親番を残しているので逆転の目は十分にある。
3巡目、中田の選択。
前巡、手牌が中張牌のみで2メンツと整っていたところからカンターツを払う切りとしたが、次のツモがダイレクトに裏目となる。ここから何を切るか。
中田が選んだのは、フリテン受けを残す切りだった。中田の切りは、345三色まで見据えた選択だったという。はいずれ引きたいと思っていた牌であり、フリテンも上等。そしてを切っておけばタンヤオがほぼ確定するので、ツモ次第では一気に高打点へと化ける可能性を秘めている。打点への意識を感じる一打だ。
6巡目、魚谷がをポン、手牌はドラが暗刻で打点は十分。を使ったアガリが基本方針なので、そこまでにできるところまで手を進めておきたい。
も鳴けて、の後付けテンパイ。このままアガれればよし、アガれないを引いてしまったときにはタンヤオに受け変えればいいという二段構えである。
三色を目指していた中田だが、リャンカンの形でを引き、切りを選択。受けが広いのはドラ切りなのだが、切ると打点的な魅力が下がってしまう上、テンパイ時にはフリテンか愚形待ちになるパターンが多い。リスクを負うなら見合う手を作りたい、という意志を感じる選択。
フリテン解消のを引いてテンパイ。ただ、直前には親の岡田からの先制リーチがかかっていた。アガリやすさなら場に安いピンズで直前に瑞原が切っている待ちが良さそうだが、そのためにはドラを切らなければならない。親のリーチの、一発目に。
中田の選択は、単騎待ちリーチ。
このとき、カメラは親の岡田と反対方向、下家の魚谷の側に目線を送る中田を捉えていた。中田は点数状況的に、魚谷の仕掛けが決して安くはないと踏んでいた。そう考えたとき、ドラのは複数枚持たれている可能性が高い。元より岡田のリーチにも全く通っていない牌。切れないならばと、そのまま勝負に打って出た。
決着はすぐについた。魚谷がアガれるをツモって2000-4000。リーチ棒2本も回収して、一気に瑞原に迫った。固められていたを見て、中田は何を思ったか。
迎えた南4局は、魚谷と瑞原のアガリ勝負。ただ、2700点差を追う魚谷には多少の条件がつく。
魚谷の手牌。4トイツでドラが1枚、チートイツドラドラなら条件クリアだが、いかんせんそれだとアガリまでのルートが細い。
瑞原も決して良い手ではないが、魚谷には先んじていると言ってもよさそうだ。
4巡目、魚谷はを引いて少考し、のトイツ落としでタンヤオへ向かった。配牌からトイツが横に伸びつつあり、手牌の印象はだいぶ変わっている。
ドラを重ねた。これで懸案だった打点条件はクリア、後は真っすぐ手を組んでいける。
瑞原も前巡に置いたを切ってタンヤオへ全振り。手牌の速度的にはほとんど互角に見える。
魚谷がポンで一歩前に出たと思えば、
瑞原もタンヤオの1シャンテンに。
先制テンパイは岡田だった。しかし、役無しの待ちをノータイムでダマテンとする。着順アップにはハネ満直撃か倍満ツモが必要だが、現状そこまで見える手牌ではない。一方で、リーチをするとオリない親番の中田との1対1になりやすく、着落ちのリスクは高まる。現状の3着目を守ろうとする、クレバーな選択だった。
魚谷と瑞原は、テンパイもほぼ同じタイミングだった。まずは魚谷がをチーしてのシャンポン待ちに。
続いて瑞原がポン、待ち。山に残るアガリ牌は、魚谷1枚に対して瑞原が4枚。最後まで繰り広げられたデットヒートは瑞原の勝利に終わるかに見えたが、