進撃の鈴木優
頂に立つまで、
戦闘民族がオリることはない
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年12月11日
第2試合
東家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
南家:東城りお(セガサミーフェニックス)
西家:菅原千瑛(BEAST Japanext)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
Mリーグ2023レギュラーシーズン98戦目。
南3局、この試合の結果を決める山場を迎えていた。
親番はラス目の菅原。
非常に厳しくなってきているチーム事情を考えると、このままラスで帰るわけにはいかない。1つでも上の着順を狙いたい。
そしてトップ目に立っているのは優だ。
東1局に僥倖の6,000オールをツモってから大きな加点はなく、2着目の東城にジリジリと差を詰められていた。
東城との点差は10,600点差。
このままの点差でオーラスに突入すれば、オーラスに満貫をツモられても逆転されないで済むが、この南3局で東城が1,000点でもアガれば状況は変わる。
優はトップ目でありながらも、果敢に攻めていった。
5巡目の優の手牌。
愚形が残っているもののリャンシャンテンと悪くない。
次巡、上家の渋川が切ったをポン。
テンパイまでの受け入れが一番多いのは・切りだが、優はカン落としの打を選択した。
全員がある程度押してくることが想定されるこの局面で、愚形テンパイでのめくり合いは歓迎できない。
マンズがとの2度受けになっているが、仮にシャンポンテンパイになった後でも・引きでリャンメンに変化する。
そして優にはある思惑があった。
優の上家は3着目の渋川。
渋川はラス目の親番菅原と3,400点差で、菅原にアガられてしまえばたちまち自身がラスになってしまう。オーラスに自身のラス親が残っていると言えども、東城・菅原の着順アップが厳しい点差になっていると、渋川以外の3者は結託して渋川の親番を終わらせにくるだろう。
つまり渋川にとって、この菅原の親番は一刻も早く終わらせたい局で、下家の優がアガることはそんなに悪くない展開なのだ。
優の捨て牌はマンズが1枚も切られておらず、絞ってくる相手ならマンズは1枚も下さないだろう。しかしこの状況なら、逆に鳴かせてもらえるのではないかという思惑だ。
優の思惑通り、渋川は優の鳴きを気にせず手を真っすぐ進めた。
優にとって絶好のが渋川から切られ、チーしてテンパイを取る。
待ちは待ち。
優が軽くアガり、局が進むかと思われたが…
そう簡単には終わらない。直後、親の菅原からリーチが入る。
ラス目の親リーチ。麻雀の中で最も振り込みを回避したいリーチだ。
同巡、優が引いたのは両無筋の。
しかし手の中にリーチの現物は無い。自身の待ちが良いこともあり、力強く押していく。
続くもプッシュ!
2巡後、引いたのは無筋の。
優のアガリ牌は一向に顔を出さない。
今度は先ほどと違い、リーチ後に菅原がをツモ切ったのでと筋のの2枚を使ってオリることはできそうだ。