白い卓に白いユニフォーム
招待選手たちの戦い
1300点を巡る争いの結末は
2023年7月3日 予選2ndステージD卓 文・東川亮
Mトーナメント
2ndStage予選D卓
7月6日19時。僕は、東京・吉祥寺にあるバー「びーたん」に来ていた。カウンターの向こうでお酒や料理を作っているのは店のマスター、曽木達志プロ。そしてカウンター席にいるのは、須田良規プロである。
僕は普段、ほとんどお酒を飲まない。弱いし、あまり好きでもないからだ。ただ、バーに来ているのにお酒を1杯も飲まないというのもなんだか据わりが悪いので、クラフトビールを注文した。この後は観戦記を書かなければいけないのだが、1杯くらいならまあ飲んでもなんとかなるだろう。
グラスに口をつけて苦みを堪能していると、耳馴染みのあるイントロが流れる。モニターに目をやると、白いユニフォームの4選手が一礼をし、試合が始まろうとしていた。日本プロ麻雀連盟から石立岳大・白銀紗希・藤島健二郎、日本プロ麻雀協会から浅井堂岐。
招待選手4名の対決である。
対局の模様はABEMAプレミアムで!
第1試合
D卓を1位で抜けたのは石立岳大。積極的な仕掛けを駆使して初戦でトップを獲得し、2戦目を逃げ切った。
ポイントとなったのはやはり、第1試合の南3局1本場になるだろう。
石立はこの局、カンのチーから動き出した。手牌にの暗刻があり、狙いは345の三色が本線になるのだが、急所のカンチャンが2つも残っている。
まだ巡目も早く、まだ様子を見たい打ち手も多いのではないかと思ったが、この積極性が石立の持ち味なのだろう。
仕上がればドラドラ赤で打点も高い。
受け入れが狭い1シャンテンで、鳴くことも上家からしかできない。
しかし、それでもテンパイできる形に受けておくことが大きい。
石立が2枚切られているを引き入れてテンパイ。
ポンの浅井、そしてリーチの藤島と、持ち点が下の2人に攻め込まれながらも、石立は最後まで戦う姿勢を崩さなかった。その攻めが浅井を打ち、8000は8300の出アガリ。
浅井としても、が相当危険なのは承知の上。
それでも自身の手がホンイツトイトイドラドラの倍満テンパイでは、オリることはできなかった。
石立は予選1stステージに続いての初戦トップ。インタビューからはこの舞台でも気後れせず、参加率が高いといういつも通りの麻雀を打てているという手応えが伺える。
招待選手のなかでも知名度は低いと思われるが、この強気の攻めが今後も見られるならば、Mトーナメントにおける台風の目になっていくのかもしれないと感じた。
第2試合
東1局、藤島が技術を見せた。
雀頭探しの1シャンテンで、孤立のを引き入れたところで生牌の東をリリース。
確かにがバラバラと切られていて、は山に残っていそうに見える。
ビンゴ。
すぐに狙いのを重ねての先制3メンチャン親リーチは 本人としても感触十分だったはずだ。
けれども、結果は浅井へチートイツドラドラ赤、8000の放銃。
この局は浅井も早々にチートイツへ手役を絞り、高いアガリだけは逃さないように打っていた。
藤島としてはうまく打ってリーチをかけていたがゆえの失点。藤島はその後アガリに恵まれず、敗れた。
対象的に浅井は一気に突き抜ける。満貫ハネ満とツモって持ち点を稼ぐと、南2局には親番で満貫ツモ。
これで大勢は決したかに思えた。
しかし次局は白銀がピンフ三色赤のリーチをツモって3000-6000は3100-6100。
南3局開始時点で、ポイント状況は以下のようになっていた。
石立 +36.4
浅井 +27.8
白銀 +27.5
藤島 ▲91.7
浅井と白銀がほぼ並び、石立とて大きな手に振り込めば、あるいは白銀・浅井に連続して高くアガられれば一気に敗退ポジションに追い込まれる。
初戦のリードがあるとは言え、決して楽に試合を終えられたわけではなかったのだ。