水平線の先に待つのは
未来への航海か、過去への
後悔か…船長・小林剛、
一世一代の大勝負
文・真中彰司【金曜担当ライター】2021年3月12日
3月12日、金曜日、20時55分。
一つの大きな大きなドラマが、区切りを迎えようとしていた。
各チームの思惑が激しくぶつかり合った、瞬き禁止の第1試合。
通過にはトップが必須だったセガサミーフェニックス・魚谷侑未。激流に逆らい、力の限りを尽くして泳ぎ抜いた。
しかし結果は実らず、無念の箱下ラス。激流に飲まれ、広い大海原に消えていった。
連対が最低条件だったU-NEXTパイレーツ・石橋伸洋。トップを走る白鳥翔に立ち向かい、34900点の2着という結果で自らの任務を全うした。
そして時は21時20分。最後の審判がやってきた。
3月12日 第2試合
いよいよレギュラーシーズン最終戦。アナウンスされたメンバーは以下の4人。
東家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:小林剛(U-NEXTパイレーツ)
北家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
パイレーツの通過条件は35700点以上のトップ。そして最終戦を託されたのは、もちろん船長・小林剛。
相手は近藤・内川・多井の3人。そして座席は多井の下家という、難易度ベリーハードのクライマックス。
それでも積み上げたポイントと、繋いだバトンを最後まで届けられるのは、船長しかいないだろう。最終半荘の開始音が、今鳴り響いた。
東1局
親の内川が第一打に切り出したに、さっそくポンの声がかかった。
西家はそう、小林だ。
手牌はまだバラバラだが、役を確定させて前進。
これに内川もをポンして応戦し、2人のスピード勝負となった。
ポンが効く内川の方がやや優勢だったが、分岐点となったのはこの巡目。
かを切ればイーシャンテンを維持できる場面。はポンテンが入る牌。
小林のスカウターが鋭く卓上を見つめ…
淡々と河にを並べていく。たった1巡の差だが、ポンの可能性も考慮した選択が功を奏し、内川のポンテンを防いだ。
結果は急所のが鳴けた小林が1000点のアガリ。トップ条件だからといってむやみに大振りはせず、確実に親を流した。
東3局
東2局は内川が3900でかわし、小林の親番がやってきた。
好配牌だ!4000オール、6000オールが見える。
しかしその親に、をポンして立ち向かう選手が1人。
ABEMASのドンにして、最速最強のラスボス、多井だ。
も鳴けて、光速のホンイツテンパイ。
パイレーツの条件を簡単に許すほど、甘い心は持ち合わせてはいない。全力でトップを阻止する構えだ。
一方の小林は、なかなか浮き牌にくっつく牌を引いてこない。