進撃の鈴木優 頂に立つまで、 戦闘民族がオリることはない【Mリーグ2023-24観戦記 12/11】担当記者 #江崎しんのすけ

ピンズは【3ピン】【6ピン】の他に【1ピン】【4ピン】【5ピン】【8ピン】【6ピン】【9ピン】が通っていないが、菅原がリーチ前に【7ピン】【2ピン】と手出しで切っているので、【7ピン】を跨ぐ筋はやや危険度が下がり、【3ピン】が3枚見えたことで【1ピン】【4ピン】の危険度も下がっている。

ピンズ待ちであれば【3ピン】【6ピン】が本命に見える。
それでも優は【3ピン】をスッとツモ切った。

押すと決めたらとことん押す。

さすがは戦闘民族の異名を持つ優。
【4ソウ】【5ソウ】は押すとしても、この【3ピン】でギブアップする人は多いのではないだろうか。

この【3ピン】も通過し、次に優が引いたのは…

無筋の【赤5マン】だった。

状況を整理してみよう。
優がリーチに対して押し返したことで、通っていないリャンメンのパターンはあと6つに絞られている。

・マンズ
【1マン】【4マン】/【2マン】【5マン】/【5マン】【8マン】

・ピンズ
【1ピン】【4ピン】/【5ピン】【8ピン】/【6ピン】【9ピン】

・ソーズ
無し

6本の無筋が当たる確率ももちろん均等ではなく濃淡がある。

例えば【2マン】【3ピン】が3枚ずつ見えているので【1マン】【4マン】【1ピン】【4ピン】は同じ無筋でも他よりは当たる確率は下がると言えるし、先述の通り【7ピン】を先に切っているので、【5ピン】【8ピン】【6ピン】【9ピン】の確率も少し低い。

そうなると本命は【2マン】【5マン】【5マン】【8マン】のどちらかで、優が引いた【5マン】はそのどちらにも当たりうる牌だ。

待ちをリャンメンだと仮定すると、放銃率は6分の2で約33%。
濃淡を考えるとざっくり約40%くらいかと思われる。

この40%を仮にかいくぐったとしても、優の加点が確定する訳ではなく、40%を通過した上で優の待ちが先に顔を出さなければ意味がない。

約2分の1で放銃となり、放銃すればトップは安泰ではなくなる。それどころか打点によってはラスの可能性だって出てくる。
状況を整理すればするほど、とてもじゃないが押せる牌ではない。

【6マン】を切ればアガリ目は薄くなるが【5マン】【5ピン】のシャンポンでテンパイを維持できる。【6マン】切りの1択だろう、そう思いながら映像を見ていた。

優は【5マン】を静かに切った。

私は驚きのあまり映像を一旦停止し、巻き戻して河をもう一度確認した。通っている筋の本数、ワンチャンスの数、どれも認識に間違いはない。

その2巡後、ようやくアガリ牌の【1マン】が優の手元に訪れた。

1,000-2,000のツモアガリにより、2着目の東城を跳満ツモ圏外に追いやることに成功する。

このアガリが決め手となった。オーラスも親リーチを躱し、優は個人3連勝を達成した。

優は対局終了後、自身のYoutubeチャンネルで検討配信をよく行っている。

配信が始まるまでの間、私は南3局で優が【5マン】を押せた理由を考えてみた。

1つ思い当たったのは、優は菅原のリーチを愚形待ちだと読んだのではないかという説だ。

菅原のリーチ宣言牌はドラ表示牌の【2ソウ】。優が【3ピン】を切った次点で【2ソウ】は4枚見えている。
リーチの前に【7マン】【7ピン】など面子を作るのに使えそうな牌を切ってまで残しておいた【2ソウ】は、手の中に関連してそうである。

しかし、【2ソウ】が4枚見えているので【2ソウ】【2ソウ】【3ソウ】からの【2ソウ】【3ソウ】は無く、【2ソウ】【4ソウ】【5ソウ】【6ソウ】【7ソウ】【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【5ソウ】【6ソウ】から他のターツができてのノベタン待ちも、【4ソウ】【6ソウ】が通っているから否定されている。

1枚しか持っていない【2ソウ】が待ちに関連しているパターンといえば、例えば【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】から【1ソウ】と何かのシャンポン待ちなど。役牌は南が見えていないので【1ソウ】【南】などのシャンポン待ちなどあり得そうだ。

シャンポン待ちの候補でいえば、南の他に【1マン】【3マン】【5ピン】など色々なパターンがあり、【5マン】は優から3枚見えているのでシャンポン待ちには当たらない牌だ。

実際のところ、菅原の待ちは

フリテンの【2ピン】【5ピン】待ちだった。
菅原は前巡2枚切れの役無し・ドラ無しカン【3ピン】テンパイを入れるがテンパイを取らず打【2ピン】とした。次巡、裏目となる【3ピン】を引きフリテンリーチに踏み込んだのだった。

打点が無い手だったため、ドラ【3ソウ】の受け入れを残すために【1ソウ】【1ソウ】【2ソウ】と持っているところからの打【2ソウ】リーチだった。

また、優は他家の動向や癖を細かく見ていることでも有名なので、もしかすると菅原のフリテンリーチに気づいていたのかもしれない。

しかし、いざ検討配信を見てみると私の予想は全て外れていた。
まず、菅原のリーチについて優は好形のリーチと読んでいたとのことだった。

理由は第一打目の【東】から2打目の【北】の切り巡だ。

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