菅原は東家で南場なので、もし菅原の配牌にターツが足りておらず孤立の字牌があったら、は一番最後に切られる牌。
そのを先に切っているということはターツが足りており、愚形などを重ねて振り替える必要もない手と読むことができる。
例えば先ほど例として出した・のシャンポン待ちになっていたとしたら、を重ねればもう1翻アップさせることができるため、→ではなく→の切り巡になっているはず。
そのためリャンメン+リャンメン・のような形でが重なっても採用されない手だったのではないかという読みだった。
またフリテンリーチについても、そのような読みは全くなかったとのこと。確かに菅原はリーチ時全く迷った素振りはなくノータイムでリーチに踏み切ったので、あのモーションからは読むことができないだろう。
を通せる特別な理由があるとばかり考えていた私だったが、優の思考は至ってシンプルで「アガリの価値が高い局面だったから」とのことだった。
を引いたことで優の打点は3,900点になっている。菅原のリーチ棒と合わせるとアガれば4,900点分の加点となり、東城との点差を15,500点の跳満ツモ圏外に追いやることができる。
そうなればオーラス東城は逆転ではなく渋川の親番を終わらせにくるだろう。3着へのアップを狙う菅原も加わり、3人でオーラスを蹴ることになり優のトップ率は各段に上がる。
理屈は充分に理解できる。
しかし、それでもあの殆ど当たりそうな5mが押せるだろうか?
あのを押していなければ当然優のアガリはなく、菅原のツモ、もしくは1人テンパイになり、菅原の連荘となっていたはずだ。
そうなれば優のトップもどうなっていたかわからない。
優は今シーズン個人成績2位までスコアを伸ばしている。
今回の対局や以前観戦記で書いたような、優じゃないとトップが取れていないのではないかと思わせる内容の試合ばかりだ。
オーラスの攻防!鈴木優がたどり着いた魂の1,000点【Mリーグ2023-24観戦記 10/9】担当記者 #江崎しんのすけ
昨シーズンは攻める場面があっても、中々結果に結びつかなかった優。今年はその歯車が徐々に合いだしてきているように思える。
Mリーグが、鈴木優の本当の恐ろしさを知るのは、これからなのかもしれない。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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