土田浩翔、近藤誠一、小林未沙…レジェンド解説・実況と振り返る1月17日(木)Mリーグダイジェスト【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Thu】

土田浩翔、近藤誠一、

小林未沙…レジェンド解説

実況と振り返る1月17日

Mリーグダイジェスト

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2019年1月17日

 

昨日のMリーグ解説席は初の3人体制だった。実況と解説はこの方々。

解説の二人はどちらもMリーグ初解説。特に初のゲスト解説として迎えられた「レジェンド解説者」土田浩翔プロは、番組開始前からTwitter上でも

 

『Mリーグの舞台でどんな解説をするのだろう??』

 

と話題になっていた。

その土田プロを含め、上部写真の3人による実況・解説が非常に素晴らしいものだったので、今回は昨日のMリーグの試合を実況・解説の言葉もまじえつつ振り返ってみたい。

打牌の説明だけでなく、「実況&解説」の解説をもするのは初めてのことなので、うまく伝えることが出来るか一抹の不安はあります。ただ、日ごろスポットライトがなかなか当たらない実況や解説ですが、何気ない一言が実は物凄く技巧的で秀逸だったりする、非常に奥深いものです。

昨日の放送をご覧になった方が楽しさを思い出していただけるように、ご覧になっていない方が中継の楽しさを少しでも味わっていただけるように、一生懸命綴りますのでお付き合いいただけたら幸いです。

 

1回戦

※出場選手は画像下部をご覧ください。

 

東1局

対局前のオープニングトーク時には、

 

小林「さて、まずは近藤さん」 「さあ、そして土田浩翔さんです」

 

と先に選手の名前を呼ぶことで、解説に上手く話題を振っていた小林。

対局開始直後、どこか遠慮していた土田。ここでも小林は「さて、土田さん」と発言を促した。質問相手を明確に示すことで、初解説二人の発言がバッティングしないように配慮しつつ、解説一人に話すタイミングをはっきり提示している。細やかな気配りの込められた進行技術だ。

この局は、

近藤「まいっちゃいますねー」

思わず近藤も唸ってしまう、個人首位を走る滝沢の2000-4000のツモアガリ決着だった。

 

東2局

 

土田「はっっっっっっ!!!!!!!!」

 

聞こえるくらいに大きく息を吞んだのはなぜかというと…

親番の高宮が、6巡目に待望のドラ表示牌を引き入れてチャンス手のイーシャンテンになったからだ。

このとき、

土田「こういうイーシャンテンのときは、イーシャンテンになってから(ツモ)3回くらいでテンパイしたいんです」

 

近藤「あんまり長いとね、辛いですよ」

 

と、二人は選手心理を解説していた。

高宮はこのあと、

7巡が経ってから、をチーして待ちのタンヤオ片アガリテンパイをとった。自然な選択ではあるが、先の解説があるおかげで、終盤に食らいついてテンパイを取りに行く高宮の心理がよく理解できる。

結果は、

松本のこのリーチに、

高宮が一発で飛び込んでしまう。

高宮から松本へ12000の放銃となった。

 

東3局

再び松本から「リーチ」の声が。

場況を見ても悪くなさそうなカンリーチだ。しかし、これがなかなかアガれない。ここで土田は調べてきていたデータを披露する。

 

土田「松本のリーチ成功率は五割を超えている(51%)んで…」

 

ふむふむ、

 

土田「さっきアガったから、今回はアガれないのかなー」

 

いやいやいや、そういうもんじゃないですw コメント欄も大爆笑だった。

この局は流局となった。しかし、この結果は、

 

近藤「松本からしたら、そこそこいい流局かもしれませんね」

 

土田「第2希望ですね」

 

第2希望という言葉のチョイスが秀逸だ。みんなが知っていてしかも頭にスッと入ってくる。お茶の間で観戦している方にもピッタリだと感じた。

 

東4局

萩原が5巡目に選択を迫られる。

マジョリティは、引きでテンパイする、打か。

萩原の選択は、

 

土田「一通狙いですね」

 

速い。

マジョリティとは違う打牌であろうと、その意図を汲むのがとてつもなく速かった。長年の経験と雀力に裏打ちされた思考速度なのだろう。

この局は萩原の一人テンパイで流局。

さて、南入だが…

 

土田「なんて早いんだろう!!!!」

 

(笑) 聞いている側も早く感じた。それだけ引き込まれる解説だ。

 

南1局

この局のドラは、半荘中3回目となる

 

土田「末広がりですねぇ…」

 

これも面白い言葉だ。巷の雀荘では耳にすることもある言葉かもしれないが、が漢字の「八」だから末広がりと呼ばれることを知らない方も多いはずだ。Mリーグは視聴者層も広い。Mリーグから麻雀に興味を持った方は特に、

 

『末広がりっていうんだ、面白い!』

 

新鮮に感じたのではないだろうか。言葉自体が専門用語でないのも伝わりやすくてなんとも良い。と、ほのぼのしていると…

 

土田「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

なんだなんだ、と思ってモニターを見ると、

親である松本の切りに反応しているのである。

 

土田「(このに続いて)マンズ、ピンズの3から7までの牌が出たら、だいたいもうマズイな、と」

 

なるほど、松本の河の見え方についての解説だ。そして、

このようにまさにドンピシャの河になった。解説二人は大興奮。

 

土田「間違いなくリーチにくる河ですからね!!」

 

近藤「安全牌を3枚くらい持っておきたい!」

 

二人からこのような解説を受けると、松本の河の危険度がリアルに伝わってくる。

そして、実際に松本はドラ1枚使いの両面&両面のイーシャンテン。先にが入ればさらに形も良くなって、ピンフや三色も狙えるチャンス手だ。

しかし、

なんと萩原が先にリーチを打ってきた。

そして、

松本とのリーチ合戦に。

結果は…

萩原が松本から3900の出アガリ。

 

近藤「松本からしても萩原のリーチはすごく嫌だったでしょうね。自分がああいう強烈な捨て牌をしているのにもかかわらず、リーチを打ってきたわけですから。相当自信があるということ」

 

確かにその通りだ。一見、萩原はただピンフドラ1をリーチし、松本が追っかけただけに見えるが、そこには選手間の駆け引きがある、それを近藤は伝えてくれた。

 

南2局

を鳴いた萩原が6巡目に、チャンタドラ1のテンパイ。

親番の高宮がこの手格好からを切って放銃となってしまう。

土田「仕方ないですよ」

 

まさにその一言に尽きる。

 

南3局

親番の萩原が中盤にを引いてテンパイ。

そこへ、仕掛けていた滝沢が飛び込んでしまう。

 

土田「あ!おおお、即だ!」

 

リーチしてないんで即じゃないですw 面白いw そのとき、

 

小林「ヤミテン大成功」

 

この小林のフォローが素晴らしい。土田の冗談を真っ向から否定することなく、かつ視聴者に誤解を与えないように説明するという、短くも完璧な一言だった。

 

南3局1本場

松本が絶好のを引き入れてテンパイ。

 

土田「なんでこうやって引ける…26歳ねぇ!いいねぇ!!」

 

近藤「年の問題ですか!?」

 

小林「巷ではツモ力は若さに比例するなんて言いますけれども」

 

3人でボケとツッコミとフォローを担当。暖かくも絶妙なチームワークだ。

そのリーチを受けた滝沢、

ドラドラの手であきらめたくはないが、どうする…

 

土田は切らないですね」

 

土田「あっらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

リアクションが大きい(笑) 滝沢から松本へ8000点の放銃だ。土田はこう続けた。

 

土田「(卓に)座ってないと感覚が働かないのですが、の選択をしたんでしょうね。弱気にと安全なんですけどいかないで、どっちのトイツ切ろうかなぁという選択ミスだったんですけどね」

 

このように、土田がきちんとミスだと指摘し、

 

近藤「ギリギリの選択ですけれどね」

 

プレーヤー解説者である近藤がフォローする。二人の息が合った解説であった。

やはり選手だからこそ座っていないと分からないものがある一方で、プレイヤー同士だと何かと気を遣って言えないこともあるかと思う。専門解説者という立場から客観的にミスを指摘しつつ、プレイヤー解説者からのフォローも入れる。2つの角度からの意見を伝えることが出来て、しかも番組として意見が偏ることなくバランスが取れていたように感じた。

 

南4局

アガリトップの松本が、6、7巡目にと切っていく。

土田「この両面外しはイヤですね…」

 

近藤「イヤですねー」

 

土田「なぜ松本が待ちを嫌ってくるの?ほとんどイーシャンテンじゃないの?」

 

小林「アガればゴールというシーンで両面を外してくる」

 

土田「まいっちゃったなー、という感じですよね」

 

なんと分かりやすい説明なのだろうか。

土田と近藤の二人が「イヤだと感じる」と共感することで説得力を持たせ、

土田が説明した切り出しの説明を小林が瞬時に同内容の言い換えをすることによって重ねて強く伝え、

最後に土田が選手目線の感想まで合わせて伝えて視聴者に心境を想起させる。

本当にこの3人でMリーグ実況・解説をするのが初めてなのか?と思うくらいに息がぴったり合った説明であった。

終盤に差し掛かったころ、

松本がをポンして待ちテンパイ。

そこに、萩原も追いつく。こちらは待ちテンパイだ。

 

土田「あー出た!」

高宮がこの手格好。真っすぐ行くなら打だ。高宮からが…

土田「うおーーーーーーーー!出ない!!」

 

高宮は、上家松本に合わせてを切った。放銃回避だ。

そして、

が出ればトップ終了だった萩原が、松本のアタリ牌をつかんだ。

 

土田「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

土田の悲鳴は、萩原の心の叫びそのものだ。なんという後先だろうか。

萩原は競り合いに敗れて2着となって、この表情。

オーラスにアガリ切った松本がこの半荘トップとなった。

 

2回戦

1回戦は全局お伝えしましたが、

2回戦は、手に汗を握ったオーラスの攻防に絞ってお伝えします。

 

南4局

オーラスは、瀬戸熊と高宮のマッチレースの様相。親番高宮の5巡目、

近藤「真っ赤っ赤だ…」

 

土田「目が痛くなってきた(汗)」

 

こんなこと言われたら笑ってしまうに決まっている。そのあと、

 

小林「炎のような、そんな手牌になりました」

 

解説両者どちらの表現も内包する美しい例えを使いながら、話題を対局へと引きもどす超絶テクニカルな表現。歴史に残る、名解説、名実況だ。

そして、勝負は終盤までもつれる。

まずは、アガリトップの瀬戸熊が、を含む2副露をして待ちのテンパイを入れる。

そこに、白鳥からメンタンピンのリーチがかかる。

追い詰められた高宮、前巡にツモ次第ではが出てしまう形に構えていたが、

が出ない形で満貫のテンパイを果たす。

瀬戸熊のツモは…

。白鳥の現物待ちだから勝負するか…

ここは瀬戸熊打。白鳥のツモアガリでも自身はトップ終了だ。のソウズで迂回できることもあって、ここはテンパイを崩して回った。白鳥のアガリ牌を抑えるファインプレイだ。

結果は、

白鳥が、高宮のアタリ牌をつかんでしまう。

高宮が12000をアガってトップ目に立った。

 

南4局1本場

高宮を逆転するには、満貫ツモ、ハネマン出アガリ条件となった瀬戸熊、

2巡目に、ドラ4のテンパイ! の良形変化、引きを見てダマテンに構える。このままでもツモれば逆転だ。物凄い手が勝負所で入った。

 

土田「あっけなさすぎるんだけど…」

 

思わず土田からもそんな言葉が漏れる。

しかし、そこに立ちはだかったのは、

 

「リーチ」

勝又だった。待ちのリーチ。勝又がアガった場合は、高宮がトップキープだ。しかも、瀬戸熊がを引いた場合には勝又への放銃となる。

注目の瀬戸熊のツモは…

だった。待ちで追っかけリーチ敢行。ツモるか、出アガリなら一発か裏で逆転だ。

 

どうなる…

 

小林「ん!!!!???」

驚くべき早さで決着はついた。一発のタイミングで勝又がをつかんだのだ。

劇的なハネマンの出アガリ。

瀬戸熊が高宮を逆転してトップへ。

久々の登場で連戦だった高宮は惜しくもこの半荘2着となった。

 

さて、初の「解説2人、実況1人」の3人体制での放送であったが、非常に良いと感じた。

『2人体制を比べて人数が多く、対局の盛り上がりを上手く伝えることが出来る』というのもあるが、最大のメリットは、『3人いれば話題が途切れる可能性が下がるので、実況に余裕が出来る』ということではないだろうか。場を見たり、枚数を数えたりと実況の負担は大きいものだ。

もちろん2人体制にも良いところはあるし、解説の人数を確保するのが難しいという問題もあるだろうが、私としてはこれからも3人体制を定期的にやって欲しいと思う。

特に、今回のゲスト解説の土田プロは本当に素晴らしかった。もっともっと解説を聞きたい。

本人は対局中に、名残を惜しんでこう語っていた。(1戦目南3局)

 

土田「もう終わっちゃう!!! 文字数がまだ余ってるんですよ!!!」

 

きっと番組が終わってからも、土田プロの気持ちは変わっていないだろう。またMリーグで土田プロと会えるように願いつつ、この記事を終わりとしたい。

 

ゆうせー
京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。

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