ケンカ上等!風を切り裂く一打で滝沢をビビらせた松本吉弘のハッタリ【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Thu】

ケンカ上等!風を切り裂く

一打で滝沢をビビらせた

松本吉弘のハッタリ

文・真中彰司【木曜担当ライター】2019年1月17日

 

1月17日。おむすびの日。または防災とボランティアの日、らしい。

様々な場所でインフルエンザが猛威をふるう中、ウイルスなど振り払うように、生き生きと卓に向かう選手が1人。

渋谷ABEMAS所属の最年少Mリーガー、松本吉弘である。

前回は6位に沈んでいたチームを救うトップを獲り、更に15日の対局では白鳥の代打として解説もこなす、まさにマルチな活躍っぷり。

多井不在で意気込んでいるのか、いつにも増して迫力のある登場シーンだ。

対局前にはリフレッシュも済ませ、気合十分。

チームランキングを見てみると、3位以下は依然として大混戦。どのチームが一歩抜け出すか、注目の集まる戦いとなった。

今回は松本が出場した第1試合の観戦記をお送りする。

まずは東2局、ドラ3・赤1のリーチを一発で高宮から討ち取って12000点。

キャプテン多井が不在の中、ABEMASを支えるためにエンジン全開。

今日も一握りの火薬(リトルフラワー)を爆発させていく。

そして次局、カンというやや不満なテンパイ形になったが、迷わずリーチ。

この思い切りの良いリーチが松本らしい。

もちろんを引くかドラのを重ねての待ちが望ましかったが、こうなると打点の上がる手替わりもほぼ無いため、リーチで相手を降ろしにかかった。

前局にインパクトのある跳満をアガっているためか、他家も引き気味になり、結果的に1人テンパイで流局。

前局のアガリで他家に高打点のイメージを植え付け、それを計算に入れた上でこのリーチをかけていたのだとすれば…なんと末恐ろしい打ち手だろうか。

続いて南1局2本場。

親番でかなり良い手牌をもらった松本だが、4巡目にを引いてきて選択に。ドラのが1枚あるだけに、を使い切って満貫や跳満を目指したくなる。

しかしそこは特攻隊長の松本。真っ直ぐを叩き切った。

引きに期待してを先に切ったり、どこかの両面を先に決めることも考えられるが、未練を全く残さない、受け入れMAXの選択を取った。

「親番で既にドラ1あるし、両面リーチが打てれば上等!」

この切りで「好形が多いので、リーチまで一直線に進みます」と宣言したようなものである。解説の土田浩翔プロもこれには「気持ちいいねえ!」と絶賛。

するとこの打牌が、滝沢の手組みに影響を与えた。松本の現物であるを残して、受け入れの狭くなる切り。

これには滝沢本人もツイートで「松っちゃんの切りにビビった」と言及。松本の切りは、他家を威嚇するという操作系の効果も持ち合わせていたのだ。

着々とリーチに向かう松本が優位に立つと思われたが、先にリーチしたのは萩原。

平和・ドラ1の待ちで先制を取った。

しかし松本も2巡後に追いつき、萩原の入り目のを打って追っかけリーチ。

萩原の参戦にやや面食らった様子だが、やる気は十分だ。

「追っかけ上等。勝負といこうか」

これには萩原も「来たか!」という表情で、追っかけリーチを見つめている。

3位と4位に位置する2チームが、激しく火花を散らした。

2巡後、この局の軍配は萩原に上がった。松本がを掴み、3900の放銃。

雷電ファンにはたまらない瞬間だっただろう。

松本は放銃となってしまったが、存分に彼の「キレ」が感じられた一局だった。

モヤモヤを全く残さない、気持ちの良い打牌。それが松本の魅力だろう。

そこに風を切るような勢いのある動作が加わり、見る者の不安を吹き飛ばしてくれる。

そんな爽快感を出してくれるのが、松本吉弘という雀士なのだ。

この後、滝沢から8000をアガり、萩原と1000点差でオーラスを迎える。

雷電も早く3位争いから抜け出したいポイントのため、熾烈なトップ争いに。

オーラスは2巡目で早くもが重なり、ターツが7組ある状態に。

ポン材を残してカンチャンを払う切りを選択。

するとが暗刻になり、ピンズのメンツが完成してイーシャンテンに。

ここもさほど迷わずに切り。でポンテンが取れる形に受けた。

の他に何を鳴くか、また面前でを引いた場合にリーチするかどうか。

そこまで考えての切りなのだろうが、少しも迷いを感じさせない。

さらにノータイムでも切り飛ばして、完全に臨戦態勢。

この両面落としで「私はイーシャンテンです」と他家に宣言したようなものだ。

そして素点回復を狙う高宮からが打ち出され、ポンして構想通りのテンパイ。

やることは全てやった。あとは斬るか斬られるかの一本勝負…!

しかしタダでトップが取れるわけがない。

萩原も待ちでテンパイを入れ、またもや松本vs萩原のめくり合いに。

両チームのファンは固唾を飲んで見守るのみ…

勝負は一瞬で決着した。今度は萩原がを掴み、松本へ3900の放銃。

ABEMASのファイナル進出へ向けて、大きな1勝を掴み取った瞬間である。

「ふぅなんとか一仕事終えたぜ

完全に、相手を仕留めて帰ってきたヒットマンである。

松本の眼鏡のフレームに反射した光が、やけに眩しく見えた気がした。

インタビューでは

「ここで負けてしまうと、多井さんが自責の念に駆られてしまうから、勝てて本当に良かった」

と爽やかに語り、多井へ会釈するシーンも。

Mリーガーとして色々なものを背負って、日々プレッシャーと戦っているはずなのだが、それを全く表に出さず、あくまで爽やかに振る舞っている。まさに「プロ」である。

また、オーラスの攻防については「あとは行くだけなので、ドキドキしながら…」と、Mリーグという大舞台を全力で楽しんでいる気持ちが伝わってくる。

「多井さん、翔ちゃん、やったよ!」

彼は屈託のない笑顔でそう思っているのだろう。この純粋さが、竹を割ったような爽快感のルーツなのかもしれない。

ここ最近はチームの勢いを変える起爆剤として、第1戦での起用がハマっている松本。

ABEMASと共に、このままどこまで走り抜けていくのか、その先が楽しみだ。

 

真中彰司
関東の理系大学院に在学中の学生。個別指導塾の数学講師という顔も持つ。主に統計学を研究する傍ら、都内各地にて麻雀修行中。

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