ドラのをツモり手を止める。
このを重ねて満貫ツモになればトップだが、1000点でもアガることができれば2着になる。
放銃で着落ちする可能性も考え、自身のアガリ率を最大に高める…
切りとした。
このをポンしたのが
茅森だ!
ポンテンの!
ツモか本田からの直撃でトップになる!
しかしすぐに
小林からが出る。
も、動かじ!
あれほどアガれない中、ようやく簡単にアガリ牌が出たところで魂のスルー!
この巡目の3面待ちなら、まだトップを狙ってツモアガリや本田からの直撃に期待してもいいはず。
じっと本田からの打牌を待つ茅森。
「見逃し」は麻雀配信の華だ。落ちているアガリ牌を拾わずに、さらなる上を目指す行動に視聴者はとても盛り上がり、感動は倍化する。
はたんまりと山に残っている。
ツモるか──
がっ! だめ!
いっけぇ! というセガサミーファンと、やめてくれー! という雷電ファンの声が交錯する12巡目だった。
小林が切ったに「ロン」の声をかけたのだ。
の見逃しから7巡のときが経過していた。さすがにこれ以上は見逃せない。
トップが確定し、安堵の表情を浮かべる本田。
「あまりかっこいいトップじゃなかった」
と振り返る。それでも奇跡の足がかりとなる1勝に嬉しさを隠せない様子だ。
Mリーグにはいろんなタイプの選手がいる。
この夜の小林と茅森の戦いは、自分の特徴を存分にぶつけあったと言えよう。
手数の多い小刀(小林)と、当たると痛い大砲(茅森)の対照が、色鮮やかにぶつかった半荘だった。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」