不死鳥か、それとも海賊か
ボーダーを巡る紙一重の激闘
文・東川亮【月曜・木曜担当ライター】2022年4月7日
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朝日新聞Mリーグ2021-22セミファイナル、4月7日の試合で、KADOKAWAサクラナイツとセガサミーフェニックスはセミファイナル全日程を終える。KADOKAWAサクラナイツは初戦に堀慎吾が大きなトップを獲得、ファイナル進出を確実なものとした。
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フェニックスの最終戦には、近藤誠一が登場した。ボーダーラインを挟んで対峙するU-NEXT Piratesとの差は84.6pt。翌日も試合があるパイレーツに対し、フェニックスがどのような条件を突きつけられるのかが、この試合の焦点となる。
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第2回戦
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:小林剛(U-NEXT Pirates)
西家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
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東1局、小林はカン待ちリーチをかけ、山に残った最後のアガリ牌をツモった。
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ただ、小林にしては珍しく、スムーズに牌を倒せなかった。
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U-NEXT Piratesとしては、この試合でフェニックスとの差をさらに広げられてしまえば、ファイナル進出は非常に厳しくなる。もしかしたら鋼の精神を持つこの男にも、この一戦に対する緊張があったのかもしれない。
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東2局、近藤が1巡目に切られたをポンした。大半の打ち手なら、至って普通の鳴きに見える。しかし鳴いたのは、あの、近藤誠一である。他の形もそこそこまとまっており、普段なら1枚目はスルーして高打点を狙うだろう。理由は一つ、小林の親番を一刻も早く蹴りたいのだ。
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近藤は狙い通り、小林から1300をアガって局消化に成功する。
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実はこのとき、小林にはタンヤオドラ3のテンパイが入っていた。前巡ではを手牌と入れ替えずツモ切ることで、
の出アガリ率を高めている。これが決まっていたら近藤としては非常に苦しくなっていただけに、打点以上に価値のあるアガリだった。
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わずか2局、いずれも高打点が決まったわけではない。それでも、この試合がただの1試合ではないことが、ひしひしと伝わってくる。
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東3局。
松本は4巡目でのペンチャン2つ残り1シャンテンは取らず。松本としても、この試合でトップを取ってファイナル進出を一気に引き寄せたい。そのために、やみくもな先制リーチではなく、アガれる手作りを進める。
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丁寧な進行でタンヤオピンフ赤、高目イーペーコーのテンパイ。ダマテンでもそこそこの打点だが、ここはリーチで踏み込んだ。
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をポンしている小林が宣言牌
をチーしてテンパイ。
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手牌7枚でのテンパイ、アガリが見える以上は安全が確保できるまではある程度突っ張るつもりだったはず。故に、このを止めて手を崩すことはなかった。
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リーチタンヤオピンフ赤、小林から松本へ8000の放銃。ABEMASはもちろん、フェニックスにとってもライバルが沈むこのアガリはうれしい。
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4番手となった小林に、さらなる試練が襲いかかる。東4局1本場、を鳴いていたところに親の内川からリーチが入り、現物が尽きる。
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小林はドラを打った。
が自身から4枚見えで、
が当たるとしたら単騎待ちかシャンポン待ち。放銃パターンが一番少ない牌として選んだが、それでも放銃すれば致命傷になりかねない。それを承知の上で、牌理として最も可能性の少ない牌をしっかり選んだ。
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その後、を引いての2度受け1シャンテンはとらず。アガリが厳しく、通っていないど真ん中の2枚を切るほどではない、という判断か。それにしたって、
も通っていない。
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内川の待ちはカン。小林は、下手に前に出ていたら放銃している可能性もあった。
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テンパイなら戦うが、1シャンテンではうかつな牌は切らない。この局面でも、小林の打ち方は徹底している。
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中途半端な失点をしないよう打ち回すのは、勝負手をアガったときにより勝利に近づくため。東4局2本場では先制のピンフドラ1好形リーチをかけ、ツモって裏裏。理想的な3000-6000は3200-6200の一撃で小林がトップに立った。
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試合は進み、南3局。この試合で、最も重要になる局面だ。トップがほしい小林はもちろん、松本もトップはほしいが、フェニックスより上のポジションで終われるこの並びはベター。怖い近藤の親を協力して蹴りにいく展開も考えられる。
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近藤は必死の仕掛けでテンパイを入れて連荘。そして迎えた南3局1本場に、いよいよ勝負手が入る。2巡目でリャンメン2つの2シャンテン、タンヤオピンフ形でまとまれば打点もついて来そう。
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中盤では、全員が1シャンテンになっていた。だが、先んじたのは近藤。テンパイし、リーチとさえ言えれば、他3者には強烈なプレッシャーになる。
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